最弱無敗の神装機竜   明月千里(GA文庫)



古代兵器を身に纏い、立ち塞がる数々の敵と戦う少年少女たちの学園ファンタジーバトルストーリー。
空中戦メインのパワードスーツ系装備、その適正は女性の方が圧倒的に有利、女学園に男一人。
ということで、世界観こそファンタジーではあるものの、パッと見はかなりISっぽい作品ですね。
主人公が亡国の王子で初期から戦闘巧者だったりと差異も多いので既視感はそれほどではありませんが。
ラストは世界改変完遂のために暗躍した「j始まりの英雄」である兄を打ち破り、そして平和になりつつある世界で
国王となった少年は皆と助け合い、わかりあいながら少しずつ前に進んでいくのだったエンド。
ラブコメ的には五人の妃を迎えて終了。なお、側室や愛人が増えそうな気配ありありの模様。

主人公は亡国の皇子として生きる苦労人な十七歳の少年。
顔立ちは整ってはいるものの、童顔なことと、背の低さから年齢よりも若く見られることが多い。
元皇族ではあるが傲慢なところは一切なく、むしろ押しに弱くお人よしな性格。
反面、思い立ったら即行動なタイプであり、同時にムキになりやすかったりと精神的に未熟な面も。
ただ、一度決めたことは必ずやり遂げると意志の強さも持っており、隙こそ多いものの頭も良い。
防御と回避に特化した戦闘スタイルから、最弱の無敗と呼ばれている。

ヒロインは研究者な姫君、ふわふわ幼馴染、クールな留学生、聡明な病弱妹、最強の騎士団長、妖艶な従者。
小悪魔な年下同僚、学園名物の三人娘、穏和な男装少女、無表情褐色娘、臆病者な悪女、老練な商会当主。
一番のお気に入りは学園最強の騎士団長な三年生、セリスティア・ラルグリス。
腰まで垂れた艶やかな金髪と、整った眉目。常に厳格で超然とした気品を身に纏い、スタイルも抜群な美少女。
家は四大貴族の公爵家と血統も上流。成績は学園首席で戦闘力も飛びぬけたものを有している。
性格面においては、立場に見合った厳しさと責任感を備えており、男嫌いで通っているのだが
素は寂しがりやで不器用。男嫌いというのも、単に男慣れしていないだけで忌避感があるわけではない。

評価はC。
主人公が戦いの経験をかなり積んでいて、しかも全力なら最強クラスという状態からのスタートなため
受け身が目立つ精神面はともかく、戦闘面において過度のフラストレーションをためなくてすむのがよかったです。
強さを見せつけることで侮蔑一色だった周囲の評価を変えていく、というシチュもたまりませんでしたし。
ただ、主要キャラが皆色々背負いすぎているため、毎巻ダウナー期間が長くなりがちなのが難点でしょうか。
特に主人公は立場の割に色々考えているようで行き当たりばったりが多いので感情移入しにくかった…
本筋は張り巡らされてきた伏線や因縁をすべて消化し、最終巻を丸々ヒロインズ中心のエピローグに費やす
という、大団円で完結。正に終わりよければすべてよしの見本のような作品だったと言えるでしょう。