女の子は優しくて可愛いものだと考えていた時期が
俺にもありました
   二丸修一(電撃文庫)



99%の男が死滅してから四年後の世界を舞台に巻き起こる、男子争奪学園ラブコメディ。
世界観だけ見れば物凄いシビアな状況なのに、内容はいたってコミカル路線。
希少な男である主人公を巡って、陰日向に恋の戦いを繰り広げる肉食系なヒロインたちの姿が楽しい。
しかしこの設定で一夫多妻制はダメってのはどうなんだろう。愛人作ればいいじゃんとか言ってるけど。
ラストはメインヒロインの有栖と結ばれ、しかし主人公を巡る騒がしい日々は続いていくよエンド。

主人公は希少な男として女だらけの学校に入学することになった高校二年の少年。
四年に渡る男のみの生活から、女の子に強烈な憧れを持っている。
そのため、年齢相応にスケベであり、可愛い女の子には弱く、騙されやすいところも。
見た目普通、勉強不得手とスペック的にはパッとしないものの、運動好きであり
警官だった父親譲りの強い正義感という名の男らしさを持っている。あと、特技は料理。

ヒロインは優等生な元義妹、爆乳肉食系女子、小動物系後輩、元気っ子な幼馴染。
一番のお気に入りは元義妹で今は他人でクラスメイトな女の子、紫桃有栖。
真面目で努力家、生徒や教師からの受けもよく、勉強も運動もできて礼儀正しく面倒見も良い。
更に、ピアノの腕は全国トップクラスであったりと正に絵に描いたような優等生。
しかしその実態は、好きな人(主人公)に対しては独占欲が高く、ヤキモチ焼きでツンデレであったり
貧乳であることを気にしていたり、強がりで意地っ張りであったりと繊細な心の持ち主。

評価はD。
希少な男である主人公を巡る女の争い、という形式ではあるものの、意外にも描写は軽め。
確かに主人公を巡る争いは頻繁に起きますが、陰湿さがほとんどないので醜さを感じないのがよかったですね。
ただ、設定倒れというか、ハーレムを期待させる世界観でありながら、誰か一人を選ばないといけない。
という大前提を強調しすぎていたため、話の展開が窮屈になり、最初から決まりきっていた結末を
グダグダを引き伸ばし続けていただけの作品、というのが最終的な印象でしょうか。
「女が人間離れレベルで強くなった」「男が希少」といった設定も、正直いらない感が強かったですし。
普通にお嬢様学校に少数の男が編入って設定でも問題なかったですよねコレ。
あと、愉快犯型権力者(生徒会長)をレギュラーに据えていたのも微妙。
いくら基本がコメディとはいえ、楽しそうだからの一言で貴重な男をいいように使うのはどうなのかと。
環境は夢のようなのに、現実には夢がない。正にこんなハーレム環境は嫌だ! な作品でした。