巨大迷宮と学園攻略科の魔術師 樹戸英人(電撃文庫)
異世界の巨大地下迷宮に挑む少年少女たちの波乱万丈なRPGストーリー。
地球と異世界を行き来できるようになっているという設定なので、薄めですが学園ものの要素もあります。
一見するとロマン溢れる冒険物語なのですが、内実は結構殺伐空気というか、ガチ。
なのでモブはおろか、ネームドキャラすら死ぬ時はあっさり死んでしまうことも。
それでも、それぞれの目的のために死力を尽くして懸命に戦う主人公達の姿が眩しく、熱い。
ラストは主人公たちの力によって世界は救われ、そして一年後―――エンド。
ラブコメ的には、最終巻でメインヒロインの星沢織姫が目立っていたものの、決着付かずで終了。
主人公は行方不明になった姉を探すために巨大地下迷宮に挑む少年。
魔法は不得手ながらも、格闘技の腕は相当なものであり、アタッカーとしては優秀。
普段は小心者で気が弱く、情けないところが目立つも
目の前で困っている人がいると、後先考えず助けに動くことができるタイプ。
実はその身に強大な力を持つ人造精霊の封印を宿しているという主人公的設定持ち。
ヒロインはゲーム好きな魔術師、恋愛アンチな回復術師。
サブヒロインとして、向上心溢れる委員長、人気者な生徒会長など。
お気に入りヒロインはなし。
評価はC。
世界観は多方面に広がっている割にシッカリしていて重厚さを感じさせてくれます。
が、そのせいで把握するべき要素が多くなりすぎで、読むのに苦労がいるのが難点だったかと。
説明やキャラ増加に尺を取られすぎているせいか、肝心のストーリー進行もかなり雑でしたし。
そこはもうちょっと丁寧に描写するべき、という部分が簡単に流されていたりするケースが多かったため
展開が進むごとに置いてきぼり感を覚えることもしばしばでした。
まあ、明らかに四巻では収まりきらないものを無理矢理収めているのだから当たり前ではあったのですが。
消化されないまま残ってしまったいくつかの伏線や設定、明らかに不十分だった主要キャラの掘り下げ。
迷宮攻略ばかりだったため、ほとんど描かれないままだった日常&ラブコメパート。
と、まだまだ読み足りない部分が残りすぎた状態での完結は本当に残念の一言に尽きました。
クライマックスの盛り上げや、戦闘描写の臨場感、仲間たちとの絆の構築描写には上手さを感じていただけに…