神明解ろーどぐらす 比嘉智康(MF文庫J)
現代日本を舞台にしたトーク系ほのぼの下校コメディ。
とか思ってたら、四巻あたりからサイコサスペンスの要素が出てくるという実にクセの強い作品です。
キャラも、良くも悪くも個性的すぎなため、結構読み手を選ぶタイプの話かと。
ラストは事件も無事に解決して、これからも皆仲良く下校だ!的エンド。
ラブコメ的には、ちゃんと自他共に認めるハーレムになって終わってるのが素晴らしいと思います。
しかしこの作品、初見じゃタイトルの意味がサッパリですね、最後まで読んでようやく意味がわかったw
主人公は何故そこまで…というレベルの情熱を下校にかける自称下校家、あだ名は勝ち越し。
直情思考型で割と単純な性格、デリカシーにかけるところがある。
しかし、そのまっすぐさと熱血行動は、ヒロイン達の心を動かしたり、事件を解決に導いたりも。
容姿、頭脳、運動能力などはほぼ人並み程度だが、下校が関わると物凄い根性が発揮される様子。
かなりの仲間思いで、彼女等のためなら土下座や衆人環視の中でのハーレム宣言やキス。
果てには殺人犯とも戦ったりと実に男らしい意志の強さを見せてくれます、勝ち越しさんマジパネェ!
ちなみにべらんめえ口調。
ヒロインはネガティブ少女、ナルシスト同級生、ちびっ子カメラマン、寝たきり精神体娘。
ちびっ子カメラマンが最後以外ヒロインとしてハブられていた感じですが、それでも全員が良い女してた印象。
一番のお気に入りは自身の美貌に自信がありすぎるナルシスト美少女、丹下まりも。
自分の容姿への優越感を隠すことなくアピールし、注目されたい、人気者でありたいと考えている自信家。
普段は今時の女の子っぽいキャラなのに、恋愛面では意外に初心で一途なところが可愛いですね。
特に下記の台詞はそんな彼女の想いが伝わってきてグッときました、良い女すぎますこの娘。
「似合わないとか勿体無いとかって気持ちを恋愛に持ち込んじゃダメ。いい恋愛しようだなんてしちゃダメ。
この人になら、身も心もボロボロにされてもいいって思える人と恋愛すんの。
うちはこの男になら騙されたっていいと思える人としか恋愛はしないから」
評価はB。
ハーレムものとしても、ひとつのラノベ作品としても面白かったです。
ただ、クセの強さというか、唐突に読者を置いてきぼりにするようなところがあったのがマイナス点だったかと。
あと、主人公の下校への情熱に最後まで共感できなかったのも評価を下げた理由でしょうか。
キャラとシナリオの両面において個性を出している、という意味では文句なしな作品だったですが…
主人公一行の醸し出す雰囲気も、とても和気藹々としており見ていて楽しかったですしね。