ただの後方腕組転生者、うっかり勇者に拍手を送ったら黒幕扱いされる。
                                               森空亭(角川スニーカー文庫)



ただ黒幕っぽいだけのモブ転生者が、勇者(推し)と世界に絶望をもたらす勘違い系ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生&勘違いものですね。物語は勇者が魔王を倒したところから始まるのですが
そこに現れた主人公が黒幕だと勘違いされ、指名手配されて逃亡生活をおくることに。
と、字面だけ見るとかなり悲惨なスタートなのですが、ほぼほぼ主人公の自業自得なのが笑えます。
当人はあくまで推し活をしているだけのつもりなんですが、外見と言動が怪しすぎますからね。
そもそも勇者をずっとストーキングしていたというだけで割とアウトですし……
何が悪かったのかを全く理解できないまま突き進み、誤解と罪が積み重なっていく流れが面白酷い。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は勇者の大ファンで、彼らの旅路を追い続けてきた、ただ黒幕っぽいだけの一般転生者。
前世は日本人であり、ありきりたりに生きてあっさり事故で死んだ平凡な人間。
英雄譚が好きで、使命を全うする人を尊敬しており、ゆえに勇者パーティの旅を観察している。
物腰穏やかな性格だが、マイペース極まりなく、街が滅びようが、すぐ傍で人が死にかけていようが
推し活以外のことには基本的に興味を示さないし、推し活を続けたいがゆえに死を受け入れるつもりもない。
二度目の人生に馴染むことができずにいたところを勇者に救われた。

ヒロインはお嬢様口調の精霊使い。サブに大人しいネクロマンサー。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
ギャグだからこそ許されている感こそありますが、主人公の異常者度合が良くも悪くもヤバすぎな作品。
コイツに関してはもう悪意無き邪悪ということでスルー安定なのですが、勇者の被害者っぷりには同情の一言。
彼が勘違いをしてしまったことが全ての発端ですが、状況を考えれば彼に罪はないですしね。
なのにようやく果たした魔王討伐が前座にすぎず、そこから真の苦難がはじまるとか…
最初はただの勘違いだった主人公=黒幕認識も、途中から実質的にガチになりますし。
主人公サイドのキャラは彼がいたからこそ救われているわけですが、大半の面子は普通に悪人であるため
大多数の人間からすれば迷惑でしかないですしね。人の心がなさすぎる。
本筋は推し活を続けることで無自覚に世界に害をなしまくっていく主人公と仲間たち。次巻は初代勇者のもとへ。