友達以上浮気未満のカノジョたち   飴月(富士見ファンタジア文庫)



地元のカノジョには言えない不純なハーレム(?)ラブコメストーリー。
大枠としては不純愛ものということになるのでしょうか。主人公は遠距離恋愛中の恋人を裏切るつもりはなく
ちゃんと恋人がいることを他ヒロインに知らせてもいるので不純かと言えば微妙なところですが…
ただ、恋人がいるのに他の女の子と関係を深めていくのは客観的には浮気としか言いようがないのも事実。
実際、カノジョには言えないと思っている時点でやましさがあるのは間違いないわけですしね。
なお、主人公は料理部に入部し、作中でも料理をすることが多いですが、メシテロ感は薄め。
ラブコメ面は最愛の恋人がいながらも、三人の美少女と距離が近くなっている主人公ですが、さて。

主人公は恋人である冬城由奈を置いて上京することになった高校生の少年。
入学先で三人の女生徒と出会い、近しい悩みを持つ彼女たちに好意を抱かれて関係が深まっていくことに。
デリカシーがないが、その自覚はあるため基本的に聞かれていないことは話さないようにしている。
小さい頃から転校を繰り返し、今まで簡単に縁が切れてばかりだったせいで何事にも執着がないが
反面、自分が必要とされることに弱く、頼ってくる相手を見放すことができない。
趣味は読書(一人でいるのが好きだという口実作りをしているうちにハマった)。

ヒロインは才色兼備なお嬢様、世話焼きな人気者、思わせぶりな後輩、年上の幼馴染。
一番のお気に入りは上京した主人公と久々に再会した一つ年上の幼馴染、秋晴涼。
色素が薄く短い髪に女子にしては高めの身長と、パッと見はまるで女子校の王子様のように
ボーイッシュだが、よく見るとあどけない顔つきをしており、体型もグラマラスな美少女。
マイペースだが努力家な性格でコミュ力はかなり低め。集中するといっさい他のことに気が回らなくなる。
また、天然かつ表情筋が死んでいるため、何を考えているのか分からない時のほうが多い。
一人称は「ボク」で、昔の勘違いの名残から年上なのに今でも主人公の呼び方は「おにーちゃん」。
昔から絵を描くのが上手く、別格の天才。高校では特待生として美術科に所属。
あまり食に執着がないタイプで、毎日同じ栄養バーとサプリメントを食べて生活している。

現時点(一巻)においての評価はC。
大体主人公が悪い、の一言で済んでしまう作品。
いや、彼自身は下心で動いているわけではないので決して軽薄でも浮気者でもないのですけども。
恋愛という意味では現恋人一番ですし、ヒロインたちに関わったのも善性ゆえのことですし。
でも彼に心底惚れている正式な恋人がいる男として考えると、ぶっちゃけクズなのも確かなわけで。
まあ、所詮は十代の高校生だと考えれば重いものを押し付けられすぎというのも確かではあるので
常に恋人のことを第一に考えてひたすら突き進め、というのも無茶な注文ではあるんですよね。
ヒロイン側はヒロイン側で全員ヤンデレの資質がある感じですし、先が楽しみでありながらも怖い…
本筋は恋人ではない女の子(他二名も怪しい)をガチ惚れさせてしまい、主人公の平穏は崩壊へ。