異世界転生したけどチートなかった   名枕(オーバーラップ文庫)



無自覚オールラウンダーな勇者の相棒による救国ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界転生ものですね。主人公の立ち位置が物語の主役(勇者)的キャラの親友兼相棒。
そして、冒険を共にするパーティーメンバーというのがあまり見ない特徴になっています。
大体はソロプレイとか、自分自身がリーダーとなるパーティーを作ったりとかで別行動しがちですし。
また、タイトル詐欺ではなく、正真正銘チートがないのも特徴と言ってもよいでしょう。
前世知識やマイナースキルを駆使した型破りな戦略で活躍を見せてくれる主人公の姿は痛快にして爽快。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は異世界の田舎の農村、その漁師の家の子として生まれ、マイナーな天恵「不殺」を授かった転生者。
ずば抜けた戦闘センスをもつ幼馴染・アルに誘われ、世界を巡る冒険の旅に出ることに。
前世の常識や知識は一部覚えているが、自身の記憶に関してはほぼほぼ覚えていない。
弓や鉈の扱いに長けており、隠密や追跡も得意とするため、主に斥候役としての役割を担っている。
自分に正直な性格で、普段は飄々としてふざけた態度をとることが多いが、やる時はやるタイプ。
知恵が回り、思慮深く、リスク管理がしっかりしているが、アルが人助けに動けば迷わず共に動く程には善良。

ヒロイン(というかレギュラー)は心優しき王女、勝気な魔法使い。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
この手の「主人公と面識がある勇者ポジションの男」というと、露骨に主人公を見下し目の敵にしたり
頭が悪くて悪女に操作されたり、活躍する主人公に焦って自爆したりとざまぁ要員になりがちですが
本作の勇者はガチの天才かつ性格も善性な正義の人、主人公への信頼もカンスト状態と隙がありません。
まあ、主人公は主人公でそんな彼の期待(という名の無茶ぶり)にキッチリ応え続けているので
なんだかんだで良いコンビではあるのですが。勇者が勇者してるのに全然陰に隠れていないですしね…
本筋は国を揺るがす教会の陰謀を食い止めることに成功するも、未だ安心とはいえない中
主人公たちは味方を作るべく魔導都市で活動開始。