魔法や異能が存在する世界のモブのはずが、裏では黒幕扱いされていた話
考える人(オーバーラップ文庫)
実は災厄級な少年が送る、全く平凡ではない「モブ」ライフストーリー。
大枠としては学園異能バトル&勘違いものですね。勘違いは主人公と周囲、その双方であります。
主人公は友人に物語の主人公のような男がいるがゆえに、自身のことを傍観者(モブ)だと認識している。
と、ここまではよくある設定であり、他の作品であればここからメインストーリーに絡みまくって
読者から「いやどう考えてもお前が主人公だよ!」とツッコミが入るような活躍を見せるものですが
本作において彼はモブの立ち位置から動きません。少なくとも自身の認識では。
にもかかわらず、周囲からはタイトル通りに裏で黒幕扱いされているというギャップが実にコミカル。
ラブコメ面は今のところ進展なし。
主人公は憧れの異能社会へと足を踏み入れるも、理想と現実のギャップに悩む日々をおくる少年。
打算的かつ即物的な性格。承認欲求が強いものの、そのために必要なひたむきさには欠けている。
また、大抵のことは見過ごすが、自分への悪口は許さないなど、基本的に小物。
その一方で、身の程は弁えており、欲深くはあるものの強欲ではない。
趣味はゲーム。熱くなると口が悪くなる癖があり、そのせいか挑発がやたらと上手い。
ヒロイン(?)は薄幸のスパイ、傍若無人なクソガキ、黒い女。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
主人公が特異点というか、台風の目すぎる。当人の自己認識はモブを脱却したいと思っている傍観者。
しかし彼への脅威は絶対排除する謎の「黒い女」の存在、気軽な会話相手に最凶悪魔がいたりと
その異能やコネクションは力ある者の視点からすれば、黒幕扱いされても仕方がないヤバさなわけで。
それでもあくまで彼自身の認識は主人公属性な友人を羨むモブでしかないがゆえに、その主観は平和。
その一方で、対比として主人公ロード驀進中な友人の主観はシリアス極まりないことになっているのですが。
本筋は気楽なモブライフをおくる主人公を他所に、周囲にはどんどん大物が集まり始め…?