とある男子高校生のラブコメ観察日記   サラダよりも肉が好き(オーバーラップ文庫)



すべてのラブコメ好きに捧げるラブコメ観察系日常ラブコメストーリー。
高校入学と同時に二人の美少女(ヒロイン)から告白された、まさにラブコメの主人公キャラ。
……を観察するモブ男子高校生が主人公の話ですね。表紙のヒロイン二人も主人公のヒロインではありません。
と言っても、向けられる好意に鈍感であるだけで、彼自身も複数のフラグを立てているのですが。
この手の「自分以外の男がラブコメ主人公だと思っている」系の話は、傍観者を気取りつつもなんだかんだで
騒動に巻き込まれたり、ラブコメ主人公を取り巻くヒロインだと思っていた女の子に好かれたりと
結局は物語の主役になりがちですが、本作主人公は騒動に介入したり手助けをすることはあっても
脇役としての立ち位置からブレないのが印象的。まあ、独立した物語を持っているだけともいうのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公が自身の色恋に興味がなさすぎる…

主人公は榊原章によるハーレムラブコメの観察日記をつけている、ラブコメ中毒な高校生の少年。
周囲の人間からはいつも無表情で何を考えているのかいまいちわからないと思われているが
コミュ力は普通にあり、聞き上手で気遣いができてユーモアもあったりと、外面と内面にかなり乖離がある。
また、好奇心の塊でもあり、とりわけラブコメを摂取することに関してはその行動力は爆発的。
趣味はラブコメ作品の鑑賞で、特技は人の癖などを把握すること。
運動が特別できるというわけではないが、サポート役としてはかなり有能。
自分で恋愛することには興味がなく、ラブコメを見るのは好きだが自分はその渦中に行きたくないと考えている。
実は中の人は転生者であり、元々は二十二歳まで生きた就職前の大学生だった。

ヒロインは探偵な女友達、ボーイッシュな小悪魔娘、控えめな文学少女、従姉な生徒会長。
一番のお気に入りは主人公とは中学以来の友人にして、探偵として活躍する同級生、龍地欄。
妙に大人びている上、謎の色っぽさがある、ミステリアスな雰囲気を有する美少女。
中学時代には「龍地様に見下され隊」という謎のファンクラブが存在していた。
クールで自信家、負けず嫌いな性格だが、意外と計算外の事態に弱く、結構弱気になりがちなところも。
中学時代、ただ推理するだけの人形的なダークな感じで毎日を過ごしていたところを主人公に救われたことで
彼に好意を抱くようになり、キザな口調で話す王子様系(一人称はボク)のキャラをはじめた理由も
好きな人の前で格好悪いところを見せたくないという乙女心があったからこそだったりする。
自他共に求めるインドア派で、運動は得意ではない。

現時点(一巻)においての評価はC。
タイトル通り、本作は日記という形式が作中のメインになっているのが特徴。
当然会話文は少なく、主人公の主観であるとはいえ、地の文ばかりなのでやや平坦な印象はぬぐえないかも。
ヒロインたちをはじめとした他キャラ視点というアクセントも挟まれてはいるので退屈ではないのですけどね。
そもそも、この主人公が抱えている事情ゆえに日記であることに意味がある、という構成になっているので…
主人公の名前が出てこないことから何か仕掛けがあるのだろうなとは思っていましたが、意表を突かれました。
本筋は友人たちのおかげで心の問題に折り合いをつけ、主人公は新たなラブコメ観察へ。
というか、主人公の中学時代編(という名の探偵もの)も読んでみたいです。