キスから始まる戦機乙女   月見草平(MF文庫J)



自身が生き残るために、ヒロインとキスをしなければならない主人公の学園武装バトルファンタジー。
ヒロインと仲良くなる→キスする→戦機乙女が生まれて敵を倒す。
が基本的な流れであり、戦機乙女が生まれないことにはどうにもならないということで
バトルよりもヒロイン攻略に主眼を置いたラブコメ推しの構成。
ただ、ヒロイン候補の数こそ多いものの、肝心の恋愛部分が義務的な取り扱いになってるがゆえに
どうも感情移入しにくいというか、素直にニヤニヤできないのが難点でしょうか。
ラストは戦いの原因を撃破し、平和な日常へ。そして主人公をめぐる恋の戦いはこれからだエンド。

主人公は世界の敵である魔神をその身に宿している少年。
過去において彼女がいた経験がないため、異性の扱いに慣れていない。
また、自分の身を省みず人助けをしてしまうほどのお人よし&お節介でもあるため
自分の都合で女の子を利用する形になってしまっていることを快く思っていなかったりする。
ラッキースケベ的な意味で間が悪い性質であったり、誘導尋問に引っかかりやすいなど迂闊なところも。

ヒロインは羞恥心ゼロな生徒会長、ちょいツンデレなクラスメイト、仮面優等生、天使(敵)な同級生。
恐らく打ち切りにならなければ生徒会の面々もヒロイン化したと思われるが、彼女らは扱いはサブのまま。
お気に入りヒロインはなし。

評価はD。
生き延びるために女の子とキスをしろ! というわかりやすいコンセプトはよかったですね。
反面、主人公がいつまでもウダウダうるさく、状況に流されている言動が大半だったのは大きなマイナス点。
この手の複数ヒロインに手を出す作品で、主人公が前向きじゃない&ブレがあるのは読んでいてキツイ。
メインヒロインである麻奈や、レギュラーである生徒会の面々も、結局キャラが立ちきらないままでしたし。
打ち切りで描写を割けなかった点を考慮しても、キャラ作りで失敗してる感があったかなと。
シナリオに関しても、大筋はまだしも、細部を見ると明らかに結果ありきで過程の辻褄を無視してる部分が多く
悪い意味での予定調和っぽさを感じるばかりで、シリアスパートが滑ってばかりだった印象。
キャラの掘り下げや成長がもっと丁寧に描かれていれば面白い作品になる余地はあったっぽいんですけどね。
しかしこれ、終了時に主人公は子持ち(三人)になっているわけですが、養育とかどうするんだろう…?