ワイの本当の職業が【性騎士】とか言えない   恋狸(オーバーラップ文庫)



性なる力で、迫る敵から聖女を守護する異色の成り上がり戦記。
大枠としてはファンタジー世界を舞台にした成り上がりものですね。主人公の職業が「聖騎士」ならぬ「性騎士」。
しかも、その力は性欲を消費することで発動されるという馬鹿馬鹿しさ極まりないもの。
そのくせ発動するスキル自体は見た目神聖で守護に特化しているため、勘違いは最早必然。
授かった職業の名前の紛らわしさといかがわしさゆえに、職業が性騎士であることがバレたら即処刑という
綱渡り人生を歩む羽目になった主人公のコミカルで痛快な活躍劇が楽しめます。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロインたちにフラグは立ちつつあるようですが…

主人公は性欲を消費してスキルを発動する「性騎士」の職業を授かってしまった挙句
職業を「聖騎士」を勘違いされて、聖女の護衛を任されることになってしまった十五歳の少年。
自称「平凡な村で生まれた顔がちょっといいだけの男」だが、剣の師匠の特訓で剣術に長けている。
軽薄で不真面目、欲に忠実な性格で権力に弱いが、性根は善性であり、自己の研鑽だけは手を抜かない。
また、無駄なプライドはないが、美人にイイとこ見せたいという虚勢と見栄は豊富。
倒せるヤツはどんな手段を使ってでも勝つ、が信条。人の表情や感情を読み取ることに長けている。
職業を授かるまでは冒険者としてそこそこ稼いで美人のハーレムを作りたいという欲望を抱いていた。
煩悩と性欲は人一倍強いが、ヘタレ童貞でデリカシーがない。

ヒロインは寡黙な聖女、脳筋な黒騎士、ツンツンな白騎士。
一番のお気に入りは攻撃に特化した騎士の上位職業「黒騎士」な二十一歳の女騎士、メイ。
金髪ポニーテール、吸い込まれるような切れ長の碧眼、雪化粧のように幻想的で白い肌の巨乳美人。
気丈で無表情、口下手に見えて意外とおしゃべり好きな性格で脳筋。年下や同僚相手でも敬語で喋る。
純情で下ネタ耐性はないが、嫌悪感もない。初めて自分を護ってくれた主人公に好感を抱いている。

現時点(一巻)においての評価はC。
美人のハーレムを作りたいなどといった邪な欲望こそあれども、それを実行に移す度胸や行動力はなく
しかし鍛錬を積み上げ、守るべき人のために身体を張ることができる、そんな客観的には王道の主人公が
授かった職業が問題であったがゆえに苦労の連続、更には毎度オチがついてしまうのが実に不憫。
まあ、なんだかんだでヒロインたちには慕われることになるので一応総合的にはプラス…?
本筋は敵対国の暗殺者を撃退することに成功し、聖女の護衛としての実績を上げていく主人公ですが、さて。