俺は学園頭脳バトルの演出家!   片沼ほとり(オーバーラップ文庫)



実力隠し最強主人公×学園頭脳バトル×メタコメディストーリー。
大枠としてはゲームによる決闘ですべてが決まる学園を舞台にした頭脳バトルもの……をメタった作品。
学年最強のお嬢様幼馴染と銀髪ロシア人メイドがヒロインポジションな裏社会からやってきた最強の転校生。
といういかにもなキャラが登場するにもかかわらず、主人公は彼らと関係皆無なモブという変化球っぷりが特徴。
まあ、モブとはいっても実力を隠しているだけでその実力は規格外なのですが。
ただ、作中においてその頭脳を陰からの演出(上記の転校生による俺TUEEE物語)に全振りしていたりと
読者視点ではほとんどの場面でスペックの無駄遣いになっているのが面白酷い。
ラブコメ面は四人の美少女と同居生活をおくる主人公ですが、さて。

主人公は現実を「演出」することに生きがいを感じている高校生の少年。
転入した帝王学園では、自身と同じ転校生である霧谷透を最強主人公に演出しようとしている。
普段は感情が表に出やすいタイプだが、必要な場面での演技や気配りは優秀。
特技は陰から人知れず舞台と筋書きを整え、みんなを楽しませること。すなわち演出。
また、演出のためにと鍛えた結果、ゲームの腕も極まっており、身体能力も高い。

ヒロインは高飛車お嬢様、最強の転校生、男嫌いなメイド、弟子な先輩。
一番のお気に入りは主人公が「主人公」になるべき存在だと認めた最強の転校生、霧谷透。
やや青みがかっているショートカットの黒髪、片方の目は長い前髪で隠れており
そこから覗く目の色は深い青色なスレンダー系の美少女。
生まれた時から男として育てられ、後天的に第二の人格が作られた二重人格者で
ゲーム時は感情を読み取れない無表情&クールな性格だが、本来の人格はその正反対。
心が幼く、馬鹿で、ゲームには弱く、純粋無垢で、マスコット的で、庇護欲をそそる雰囲気を持っている。

現時点(二巻)においての評価はC。
本作は頭脳バトルメタコメディということで、自称演出家である主人公が学園頭脳バトルを演出しようと
奮闘する様がメインになっているわけですが、コメディと銘打たれているだけに、話はすんなりとは進みません。
影から動くはずが、いきなり学園屈指の実力者なお嬢様に挑まれ、勝利してしまったりと序盤から大目立ち。
彼女をメイドにし、更には最強主人公として演出するはずだった転校生は男ではなく女ということが判明。
自身の配役を二転三転させながら頑張っても、中々思うようにいかないコミカルな様子が実に楽しく
同時に、肝心の頭脳バトルシーンもしっかりと練り込まれているのがワクワク感を掻き立ててくれます。
本筋は上級生との決闘に望んだとおりの形で勝利した主人公&透ペア。
しかし主人公に本気になってもらいたい学長が彼にゆさぶりをかけてきて…?