最強の吸血鬼は普通に生きたい   浦田阿多留(オーバーラップ文庫)



その帰還者、現代でも最強!? 規格外の吸血鬼による爽快バトルファンタジーストーリー。
大枠としては異世界召喚アフター&現代異能バトルものですね。
異世界にて魔王討伐を果たした主人公が元の世界に帰還したところから始まる物語となっています。
特徴は主人公が異世界に転移した時から吸血鬼の身体になってしまっているということ。
これにより、最強クラスの実力持ちでありながらメンタル面での問題や弱点が自然に備わっているのが上手い。
ラブコメ面はメインヒロインの天照地陽華に恋をした主人公。彼女のほうも好意的なようで…?

主人公は異世界で吸血鬼の王となり、魔王討伐を果たした後に現代に帰還した少年。
弱点はほぼ克服したが、太陽が出ている間の眠気だけは悩みのタネ。
吸血鬼という種族のせいで異世界での日々が散々だったことから、かなり心が摩耗してしまっており
穏やかな日々を心から望んでいるが、それでも厄介事に首を突っ込んで人助けをしてしまうお人よし。

ヒロインは献身的なお嬢様、世話焼きなギャル、忠義厚きアラクネ、脳内アナウンス、猫耳忍者。
一番のお気に入りは長く続く天照地神社の長女であり、由緒正しいお嬢様な同級生、天照地陽華。
晴れ渡った夜空のような黒髪のロングストレートと、陶器のように滑らかで白い肌。
そして、黒い瞳孔を淡黄色の虹彩が囲んでいる瞳が特徴的なスタイル抜群の美少女。
成績優秀でスポーツ万能、教師からの印象も良く、一年の秋から生徒会に入っており
実家は古くから続く大きな神社を管理する家、つまりは超お嬢様だったりと、スペックは特盛。
人当たりが良く、誰にでも優しく、自分より他人を優先しがちと性格も良いが、割と子供っぽいところも。
筋金入りのチーズ好きで、チーズについて語りだすと止まらない。実はゲーマー。

現時点(二巻)においての評価はC。
戦いばかりだった異世界から帰還を果たした主人公が平和や普通を求めるのは当然にしてお約束ですが
本作の主人公ほどその想いが切実な異世界帰還者はそうはいない、と納得&同情するしかない。
人型でこそあれど、吸血鬼という人外にさせられてしまった上に、異世界では散々迫害されていたという…
更に、魔王討伐を果たし、ようやく元の世界に帰ることができたかと思いきや、元の世界も裏側は物騒で
しかしあえてそこに踏み込まざるを得ないとか。勇者の肩書きすらないのにご愁傷様すぎである。
だからこそ、ヒロインたちと交流する中で心が癒されていく様子にほっとするのですが。
本筋は陽華を狙う妖魔連合の刺客を撃破するも、その背後に自身の使い魔がいることが判明し…?