神様を決める教室   坂石遊作(電撃文庫)



神様になれるのは、ただ一人。悲しくも美しい学園ファンタジーストーリー。
大枠としてはファンタジー版デスゲーム、もしくは学園版の聖杯戦争(F〇te)といったところでしょうか。
あらゆる世界の英雄たちを死後に集め、次代の神を決めるための学園を舞台に、過酷な試験を乗り越えた
一人の生徒のみが卒業を許され願いが叶えられる。脱落者は世界から完全に消える。
もう設定の時点でエグいというか、完全に蟲毒ですよねこれ。最終的に唯一の勝者以外は全員消えるわけですし。
まあ、主人公(だけではなく他にもいる)は役割が違うので別ゲーやってる感がありますが。
神様候補者と粛清者。同じ教室にいながらも役割が違いすぎるこの二面性が一層緊迫感を引き立てている印象。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか恋愛にかまけていられるような環境ではないですし…

主人公は異能も持たず英雄でもない元暗殺者の少年。
誰をも救いたいと願う心優しい聖女・ルシアと出会い、彼女を神の座に導くため、暗躍を始めることに。
願いはひとつ。かつて手にかけてしまった恩師を蘇らせる事。
徹底的な慎重派で、不愛想かつ暗めの性格だがコミュ障というわけではない。
心だけは正しくありたいと願っており、それを体現している聖女ルシアを護りたいと考えている。

ヒロインは心優しき聖女、カリスマな王女。サブに純真無垢な天使。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
脱落時のペナルティと勝者のメリットが極大だからとはいえ、違反する奴多すぎである。
英雄=清廉潔白な人間とは限らないというのはわかりますが、そもそもの話、選定時点で省くべきでは…?
いや、そういう奴らも混ぜて、その上で勝ち残れる者こそが次代の神に相応しいってことなんでしょうけども。
試験と銘打たれているだけあって、作中では肉体、精神力、頭脳と色々な要素を用いた試しがありますし。
その一方で、主人公の粛清者という立場の都合上、ガチの殺し合いもバッチリと用意されているのですが。
キャラに関しては、願いのために殺害を躊躇わず、しかし魅せられた聖女のために駆ける主人公が格好いい。
二大勢力それぞれの長にしてヒロインである二人の少女のカリスマ性と魅力も文句なし。
本筋は聖女ルシアを勝ち残らせるために手を汚すことを決意した主人公。
しかしライバルは手強く、同業である粛清者も油断できない面子揃い。更には願いに関わる大きな謎も…?