年下の女性教官に今日も叱っていただけた   岩波零(電撃文庫)



新たな自分の一面に気づいちゃうファンタジーラブコメストーリー。
大枠としてはそこらでモンスターが闊歩しているファンタジー世界を舞台にした学園青春(?)物語です。
弱点ありの強者主人公、という設定は珍しくはありませんが、本作ほど顕著なのも珍しい。
なにせ女性への耐性が皆無ですからね。女性が相手だと実力を全然発揮できなくなるとか致命的すぎる。
この世界、見た目が人間に近いモンスター娘(しかも男を誑かしてくる)が存在していますからね。
作中ではそれをどうにかしようと教官のリリアや主人公は奮闘するわけですが…
それがどうなるかはタイトルで推して知るべし。幸いにもコミカル路線の作風なので問題はないのですが。
ラブコメ面は母(偽)や恋人(仮)ができ、年下女性教官の事実上奴隷となった主人公ですが、さて。

主人公は男だけの戦闘集団で生まれ育つも、そこから逃げ出し、道中でドラゴンを倒して美少女リリアを救出。
その後、才能を見込まれ、彼女が教官を務める勇者訓練学校に入ることになった十八歳の少年。
素直で単純な性格をしているが、ずっと男だけの環境で生きてきたがゆえに、異性への免疫がまったくない。
しかしそれだけに女の子への興味は人一倍どころではなく、どんな時でも煩悩を最優先してしまいがち。
日常茶飯事どころか日常そのものだったため、サバイバルに長けている。

ヒロインはドSな教官、母性豊かな級友、気さくなギャル。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
教官に足で踏みつけられる、犬にされる、木に縛り付けられる。級友からは赤ちゃん扱いされる、弄ばれる。
箇条書きするとロクな目にあっていない主人公ですが、彼を虐げている(?)側は悪意があるわけではなく
そもそも自業自得ですし、主人公自身がドMであるため、実質的にご褒美にしかなっていないのが酷い。
しかも敵を含めて彼を責めるのは美女美少女ばかりですしね。羨ましくはないけど幸せな環境である。
話が進んでからはもう「叱って」というより「罵倒されて」「命令されて」いるだけになっている気がしますが。
本筋は年下の女性教官の命令を絶対厳守するように躾けられてしまった主人公の前途やいかに。