隣のゴリラに恋してる 上月司(電撃文庫)
呪い×アニマル×日常!? ゴリラ(外見)に恋する異色のカースド・ラブコメストーリー。
「人間は中身」とはよく言われることではありますが、それが男女の恋愛、しかも思春期でのこととなると
判断材料として、どうしても外見が大きなファクターとなるのは当然のこと。
にもかかわらず、外見がゴリラ(に見える)な女の子に胸の高鳴りを覚えてしまった主人公。
という、タイトル通りにして、インパクト抜群なアイディアが光る作品です。
ただ、こんな設定にしたからには、挿絵に一枚くらいは主人公視点(ゴリラ絵)があるべきだったのでは…?
文章だけでは主人公の苦悩に共感しきれないですし、そこが残念なところではありますね。
ラブコメ面はメインヒロインの強羅里穂への恋心を自覚した主人公ですが、相手は手強く…?
主人公は「異性が動物に見える呪い」を受けている高校一年生の少年。
軽い雰囲気と物言いが特徴で、里穂からは「怖いくらいのコミュニケーション能力」と評されているが
それは積極的にいかないと相手のことがわからない(動物の表情は読みにくい)という面も大きい。
スポーツをやるのも観るのも好きな圧倒的なアウトドアタイプなのだが、現在は呪いにかかっていても
思春期の情動を満たせる二次元キャラ大好きなオタ系になってしまっている。
恋愛経験は小六の初恋以外ないため、色恋沙汰に疎い。単純に記憶することが苦手。
ヒロインはクールな級友、男装の先輩。
一番のお気に入りは男子用の制服を着ているが主人公からはネコに見える先輩、三戸来那。
少しだけ茶色がかっている、男子に比べると少し長めなショートカットが特徴のスレンダー美少女。
主人公と同じく呪いを受けており、その内容は「男としてしか認識されないようになる」というもので
それゆえに普段は男子用の服を着て、男口調(一人称はボク)で喋っている。
フランクな性格だが、色恋(特にエロ)に免疫がない。
現時点(一巻)においての評価はC。
異性が動物に見える主人公。この一点がありきたりな学園ラブコメに良い意味での異色さを与えている作品。
しかしこれ、真面目に考えると主人公の日常が本当にキツすぎである。
男は人間に見えるのに、女は動物に見えるとか普段の視界内の違和感ヤバそうですし…
そりゃ二次元に傾倒しちゃいますわな。二次元なら美少女は美少女のままなわけですしね。
それでも常に明るく振る舞い、異性に対しても分け隔てなく接することができるのは凄いの一言ですが。
そんな彼を取り巻くヒロインたちも可愛らしさに溢れているだけに、皆幸せになってもらいたいところ。
本筋は里穂のキスによって一時的に呪いが解けた主人公ですが、完全解呪はならず。
なので里穂に好かれる努力をしつつ、呪い仲間の先輩を好きになる努力もすることに。