飛べない最強のダンジョンシーカー 日之影ソラ(HJ文庫)
翼を持たない落ちこぼれが空を駆け抜け天空ダンジョンで覚醒無双する現代ファンタジーストーリー。
大枠としては約十年前にダンジョンが現れた現代日本を舞台にしたダンジョン攻略ものですね。
特徴はダンジョンが空に存在しているがために、攻略には空を飛べることが大前提であるという点。
本作主人公はシーカー(ダンジョンの攻略を目指す人間のこと)でありながら空を飛ぶことができず
それゆえに落ちこぼれ扱いされている、という典型的な底辺からの成り上がり物語になっていますが
空を飛べないからこそ、翼を生み出すためのリソースをアーティファクトの使用や肉体強化に全て使える。
だから戦闘能力における才能は凄い、というのは納得しやすいですね。上手い設定かと。
ラブコメ面はチームメイトのイヴからデートに誘われる程度には好かれているようですが…
主人公は飛ぶための翼が生成できず、「飛べないシーカー」といじめられていた高校生の少年。
Sランクシーカー高志奈楓にその隠れた力を見出され、チーム雪月花のメンバーとなることに。
真面目で誠実、努力家な性格で、絶体絶命の危機に前を向いて立ち向かうことができる勇気の持ち主。
また、自分を虐めていた相手にも感謝すべき部分には感謝ができるなど、人間ができている。
貧乏学生ゆえに自炊をしていたため、料理の腕前は人並み。
ヒロインは面倒見の良いリーダー、人見知りなサポート。サブに苦労人な運営担当。
一番のお気に入りは雪月花所属のサポート担当のシーカー、高志奈イヴ。
透き通るような肌、光を反射するほど眩い銀色の髪、青く澄んだ瞳を有する美少女。
視野が広く、頭の回転も速く、機転も利くためチームでは情報収集と指示出しを担当している。
かなりの人見知りであり、仲間以外とはまともに喋ることができない。
主人公に対してはいつもツンツンして当たりが強いが、言葉の裏には優しさが詰まっている。
実はダンジョンで見つかった存在であり、覚醒するまでの記憶がない。
現時点(一巻)においての評価はC。
落ちこぼれとされた少年が囮にされ絶体絶命の危機に陥るも、諦めずに脅威に立ち向かい、覚醒。
その姿を見た実力者に才能を見出され、仲間に勧誘されて成り上がりの道へ。
才能だけではない、勇気と根性、熱意、そして信頼を持って成長を果たしていく主人公の姿が熱い。
まあ、序盤の落ちこぼれ時代の主人公の境遇描写がいくら何でも胸糞悪すぎな感はありますが
その反動があるからこそのカタルシスともいえるわけで、このあたりは評価が難しいところでしょうか。
本筋は上位チームに加入し、ダンジョン攻略への道を本格的に歩みはじめた主人公。