英雄たちの盟主   太陽ひかる(HJ文庫)



死んだ仲間のスキルを組み合わせ最強スキルに! 落ちこぼれ冒険者のスキル継承無双譚。
大枠としては剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした冒険者物語ですね。
なんのスキルもないがゆえに落ちこぼれとされている主人公が神から認められてチートスキル覚醒!
と、話の方向性自体はテンプレ感が強いですが、彼に力を与えた神が彼を認めた理由。
死に様が見事だった、地道に努力し続けてレベルを上げていた、力を得ても歪まなかった。
これらの部分がしっかりと描かれ、主人公の確固たるバックボーンになっているのがグッド。
ラブコメ面は一巻終了時点で婚約者を二人いるというスピード展開。

主人公は死の神と契約をしながらも、何のスキルもないF級冒険者の少年。
男三人落ちこぼれチームで護衛依頼の最中に、凶悪な魔物によって全滅してしまうも
その死にざまを評価され、神からユニークスキル「ソウルマスター」を授けられることに。
正義感が強く、誠実な性格。ノースキルでありながらも、弱冠十六歳でレベル50に到達するほどに
努力を惜しまないところが認められ「鉄剣」の二つ名がつけられている。
冒険者としては強欲極まりなく、色恋に関しても、大勢の美女を娶りたいと考えている。
最終目標は契約した神であるイヴリーザーを世界一の神にすること。

ヒロインは無垢な神身娘、お転婆なエルフ王女、死の神。
一番のお気に入りは襲撃を受けた里から逃れたところで主人公たちと出会ったエルフの王女、シルフィ。
エルフらしい尖った耳に加え、金髪に緑の瞳をした、気の強そうな面構えの美少女。
明るく勝気、物怖じしない性格だが、根は人見知りで臆病。
女王の娘であるがゆえに後を継がなければならないが、当人は冒険者になりたいと思っている。

現時点(一巻)においての評価はC。
神と契約して人間がスキルを得たり、レベルシステムがあったりと世界観はゲーム的ながらも
それらの設定がちゃんとわかりやすく、かつ納得できるように理由付けされているのが良いですね。
また、主人公のスキルは「死者のスキルを継承して自分の物とする」という、人聞きの悪すぎるものであり
前提として死者が必要となるものなので、当然ながら覚醒の前には重い展開があるわけですが…
だからこそ、亡き仲間たちの力を継承して強敵を打ち倒して勝利を掴む姿がこれ以上なく熱い。
彼自身も不遇に腐らない真面目な努力家なので、邪悪な力を使おうとも好感度が下がることはないですしね。
本筋は世界を己が物にせんとするダークロードの一体を撃破し、主人公たちは次なる冒険へ。