二度目の勇者に仲間はいらない 西島ふみかる(GA文庫)
二度目の勇者が最速・最短で突き進む、超効率的魔王討伐譚。
大枠としてはタイムリープものですね。勇者である主人公は一度目の人生において、魔王討伐という目的自体は
成し遂げているという点が特徴。そこに至るまでの犠牲が多すぎたせいでハッピーエンド感は皆無ですし
彼自身が一番それを悔やんでいるからこそ、逆行という「失わない」チャンスを得たことに救いがあるのですが。
しかし、序盤から一度目の魔王討伐の旅で培った知識や経験を活かしまくるのはお約束ではあるものの
自分が勇者であることを隠すために左手をぶった切るのは覚悟決まりすぎである。
ラブコメ面は今のところ進展なし。一周目では想い合っていた相手(死別している)がいましたが…
主人公は魔王を倒すも、時空のひずみに巻き込まれ、魔王討伐の旅に出る前に戻されてしまった勇者。
最初の魔王討伐の際、多くの犠牲を出したことから二度目では仲間を増やすことを嫌がっている。
ぶっきらぼうではあるが勇者らしく真面目で責任感と正義感が強く、苦しんでいる人を見捨てられない性格。
また、決めたことを成し遂げようとする意志の強さも人並外れている。
ヒロインは努力家な王女。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
この手の話は主人公のガンギマリっぷりに反し、ガバがよく発生するというか、あっさりと情に絆されたり
主人公自身が間抜けなせいで意に反した事態ばかり起きる、みたいなコミカル路線に行きがちですが
本作はそういった余裕は一切なく、ただひたすらに最善の道を行こうとするガチな勇者の姿が描かれています。
自分にも他人にも厳しい態度を貫き、当然色恋にも見向きもしないというストイックの極み。
エンタメであるラノベの主人公としては異端も異端ですが、ここまで突き抜けていれば逆に感心せざるをえません。
だからこそ、それでも彼についていく! と熱意を見せるヒロインには是非とも彼を救ってもらいたいところ。
本筋は一周目では被害甚大だった魔族の襲撃を退けることに成功するも、仲間を一人加えることになった主人公。
そんな彼の前に、一周目の仲間であったハイエルフの魔導師が現れて…?