S級冒険者が集う酒場で一番強いのはモブ店員な件 徳山銀次郎(GA文庫)
自分が最強だと忘れたまま始まる少年の無自覚無双劇。
大枠としては異世界転生ものですね。なお、魔王退治は物語開始時点で既に主人公自身が終わらせている模様。
最強のステータスとチート能力を持ちながらも、記憶喪失であるがゆえに自分の規格外っぷりが理解できず
それなのに冒険ではぶっ飛んだ成果を出しまくるという勘違いもの特有の面白さが楽しめます。
まあ、彼の本業はあくまで酒場の店員なので、冒険に出向くのはあくまでお客の手伝いでしかないのですが
だからこそ、タイトル=ただの事実でしかないというコミカルさが引き立っている印象。
ラブコメ面は今のところ進展なし。何人かに可愛い弟分的な意味で好かれてはいるようですが…
主人公は見知らぬダンジョンの深奥で目覚め、自力でダンジョンを脱出した後偶然出会った酒場の店主ロッテに
見込まれS級冒険者が集う酒場で働くことになった、異世界転生を果たした元居酒屋店員。
異世界転生して桁外れのステータスと最強のチート能力を得ているが、記憶喪失で忘れてしまっている。
気弱で押しに弱く、前世では何の取り柄もなかったがゆえにコンプレックスだらけで負け慣れているが
真面目でひたむきな性格。ただ、一度こうと思い込むと人の話を聞かなくなるところも。
ヒロインは過保護なホール担当、人懐っこい魔法使い、お転婆な王女、元弟子な最強冒険者。
サブ(昇格候補?)にマイペースな店主、粗暴な厨房担当、負けず嫌いなエルフ剣士なども。
一番のお気に入りはクラン「鋼鉄」の一員にしてS級冒険者の魔法使い、ミレイユ。
オレンジ色のロングヘアを頭頂部で綺麗にまとめた艶やかなポニーテールに、モデルのようなスタイルの美少女。
犬のように明るく人懐っこい性格で、初対面の時から主人公に好意的。
現時点(二巻)においての評価はC。
記憶喪失という、創作においてはよくあるネタのひとつでしかない要素をコミカルに活用している作品。
最強の英雄が記憶を失くした状態で自分を知る者が少なくなった平和な世界で生きていく。
背景を考えればとんでもないことなのに、過去はあくまでスパイスでしかないというスタンスが潔い。
そもそも、当事者である主人公自身があまり深くは気にしていないですしね…
無自覚の最強あってのことではありますが、作中でも、色々な事態に巻き込まれながらもけろっとしていますし。
ただまあ、そんな色々な意味で鈍感な彼に惹かれたヒロイン陣は大変でしょうが。
本筋は記憶を失う前の自分のことを知る人間が現れても相変わらず無自覚無双な主人公。
二巻の締め方が完結っぽいですが、主人公の過去など伏線も多く残っていますし、続いてほしいところですが…