謎解き勇者の精霊無双 久追遥希(MF文庫J)
本好き=最強の勇者――大図書館から始まる謎解き×精霊ファンタジーストーリー。
大枠としては剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたダンジョン攻略ものですね。勇者と魔王要素もあります。
この手のジャンルの場合、ダンジョン攻略=モンスター退治みたいな戦闘力重視な構図になりがち。
本作でもその点については同様であるがゆえに、戦闘力皆無な主人公は無能と蔑まれているわけですが
彼が攻略することになるダンジョンはタイトル通り「謎解き」がメインなため、知識こそが最も重要。
だからこそ、知識に特化している主人公が無双できる、という構成になっています。
とはいえ、謎解きに戦闘力も必要な場面もあるので、派手なバトルアクションもバッチリではあるのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。フラグの気配はチラホラと見え隠れしていますが…
主人公は魔物を倒せない「知識」の技能特化のせいで無能(ブランク)と蔑まれる少年。
極めて自己中心的な性格をしており、見ず知らずの他人に貶されてもまったく気にしないメンタルの持ち主。
加えて「気を遣う」や「他人に嫌われたくない」といった感情が欠如しているため、言葉選びが下手。
言動は常にストレートで、感情ではなく理屈で動くが、敵対者以外には悪意はない。
短所はデリカシーがない点。長所はすこぶる前向きな点。
三度の飯よりも、そして睡眠よりも読書を愛しており、数ある本の中でも特に冒険小説を好んでいる。
ヒロインは純真無垢な大精霊、ツンデレな冒険者、フランクな王女、クールな侍女。
一番のお気に入りは英雄クラテールの血を引く元貴族の炎魔法使い冒険者、クロシェット・エタンセル。
毛先だけくるんと外に跳ねた夕陽色のツーサイドアップ、太陽を思わせる紅炎色の瞳が特徴の美少女。
直情的で勝ち気なところが目立つが真面目な性格で、大好きな父親の汚名を返上したい。
家の爵位を取り戻したい、だから武勲を上げたいと頑張り続けている不屈の精神の持ち主。
料理、洗濯、掃除、裁縫と家事は大体どれも得意分野。
現時点(一巻)においての評価はC。
世界観を問わず、ダンジョンの攻略というと、どうしても襲い来るモンスターたちを倒して前に進む。
というイメージが第一で、特に見栄え重視のライトノベルではその傾向が強くなりがちなのですが
ゲームなどでは戦闘力だけではどうにもならないギミックの解除が必要となる展開も珍しくはありません。
そもそも、力だけではなく頭も必要という構成にしたほうが多様性があって難易度は上がりますし…
戦闘力と知識、どちらが欠けてもダメで、だからこそ仲間が必要だとよくわかる本作には王道の熱さがあります。
キャラに関しては、我が道を行きながらも連れ去られた幼馴染のために立ち上がる主人公が格好いい。
ヒロインたちも、それぞれの立ち位置がしっかりしていて、頼もしさも可愛らしさも申し分なし。
本筋は魔王となった幼馴染を救うため、ダンジョンに挑むチームを結成した主人公ですが、さて。