魔王討伐のごほうびはパーティー全員に養われることでした 落合祐輔(MF文庫J)
好感度MAXな美少女三人が養ってくれる、悠々自適なセカンドヒモライフラブコメストーリー。
大枠としては魔王討伐アフターものですね。王侯貴族との結婚や高位の役職への就任。
それらが魔王討伐のごほうびのお約束であり、本作の主人公の場合は後者だったわけですが…
魔王討伐という大偉業&重労働をようやく終えたとなれば、もう働きたくない、ゆっくりしたい。
期待も責任ももういらないというのはごもっともすぎる考えではあるんですよね。
だからと言って責任ある立場をスパッと切り捨ててヒモ生活というのは苦笑せざるをえませんが。
とはいえ、働きたくない主人公、彼をヒモにしたいヒロインズ、と利害は一致しているので問題はないのでしょうが。
ラブコメ面は仲間であるヒロイン三人に囲われ、養われている形の主人公ですが、さて。
主人公は三人の美少女メンバーと共に魔王を倒し、英雄となったパーティーの軍師である僧侶の青年。
ドがつくお人よしな性格で、良く言えば真面目で献身的、悪く言えばワーカホリック。
しかし、魔王討伐を頑張り過ぎた結果、働く意欲がなくなってしまった。
能力的には紛れもなく有能なのだが、とにかく自己評価が低く、褒められることが苦手。
膨大な知識と熟練の観察眼で、相手の些細な挙動から数手先の動きを読み切る分析力が強み。
ヒロインはマイペースな勇者、ツンデレな魔導師、かまってちゃんな戦士。
一番のお気に入りは魔術や魔導書に造詣の深い頼れる後衛の魔導師、アイナ・ロザリー。
艶のあるロングの黒髪とツンとした目元、青みがかった瞳、バランスのとれたスタイルの美少女。
いついかなる時も冷静沈着だが、ツンとした態度や皮肉っぽい物言いが多く、特に主人公には辛辣。
しかし、内面はとても仲間想いで優しく、彼への態度も好意を悟らせないよう照れ隠しで振る舞っているだけ。
幼い頃の環境や経験ゆえに、常に劣等感と嫉妬心を抱えており、モヤモヤと溜め込んで考えてしまいがち。
一度ガッと集中し出すと周りが見えなくなり、時間すら気にならなくなってしまう癖がある。
自分のルサンチマンを理解し寄り添ってくれる安心感が主人公を好きな理由。
鍛えすぎてない細さはキープしつつほどよく筋肉ついてます、という細マッチョ感が好みど真ん中。
パーティー内では比較的料理上手。
現時点(一巻)においての評価はC。
三人の美少女に養われるヒモ生活、と書くと羨ましいの一言で済むわけですが…
本作主人公の場合、魔王討伐というこの上ない功績をあげているのだからこれくらいのご褒美は当然なわけで。
まあ、養う側も同じ偉業を成し遂げた仲間たち、というのが愉快なところではあるのですが。
彼女たちがそうした理由からして、好きな人への告白猶予期間が欲しかったという私情全開なわけですし。
勇者パーティー全員に要職就任を断られることになった国側はご愁傷さまですが。
特例として一夫多妻を認めればそれで全部解決だったのでは? とは言ってはいけない。
本筋はひと騒動を経たことで、モラトリアムで繰り広げられる主人公争奪戦は加速していくことになりそう?
自己評価の低さの根本的な原因だと思われる主人公の過去も気になるところ。