前世不死身の魔王にとって、デスゲームはぬるすぎる 高橋びすい(MF文庫J)
死んでも復活できる異世界の魔王が現世のデスゲームを根本から制圧する、デスゲーム破壊系魔王譚。
大枠としてはデスゲームものですね。舞台こそ現代日本ではありますが、主催は魔法が使える転生者の組織。
主人公も元魔王な転生者(ヒロインにも元部下や元勇者がいる)とファンタジー要素が前面に出ているのが特徴。
死んだら負けであり、終わりなのがデスゲームなのに、死んでも復活できるのは理不尽すぎる…!
まあ、デスゲーム自体が元々理不尽の塊なので、同じ理不尽で反撃するのはむしろ痛快なのですけども。
蘇生以外でも、前世より衰えているとはいえデスゲームをどうにかするのに十分な力はありますしね、主人公。
ラブコメ面は三人のワケあり美少女に好かれている主人公ですが、さて。
主人公は異世界で続いた人間との戦争に嫌気がさし、平和な地球に転生してきた「不死王」と呼ばれた魔王。
転生後は平和に過ごしていたが、突如デスゲーム会場に連行され、見せしめ役として急に殺される羽目に。
前世の頃から人付き合いが得意ではなく、大人しい性格であるため、学校ではスクールカースト下位の陰キャ。
いつも他人のことばかり気にして自分をなおがしろにする、超がつくお人よしで平和な日常を愛している。
魔王になったのはあくまで魔力の才があり、かつ魔族を救いたかったから担ぎ上げられたにすぎない。
最強の存在であったがゆえに怖いという感情がなく、そのくせ戦いに関してはストイック。
前世では忙しさのせいで恋愛らしい恋愛を五百年間してこなかったため、女性関係に関してはやや初心。
ヒロインはギャルな級友、忠義厚き元配下、元勇者な義妹。
一番のお気に入りは前世では主人公の宿敵であった勇者、現世では両親の再婚でできた義妹、白波結愛。
全体的にあか抜けた容姿をしている美少女(胸も大きい)。
義兄である主人公に対しては終始不愛想だが、実は前世の頃から彼に対しての恋心を胸に秘めており
嫌な態度をとるのも緊張してしまうことにまったく慣れないから。
誰にも言っていないが、白馬の王子様を待っている系女子であり、誰かに守られたいタイプ。
ゆえに、前世の世界において恋しうる相手は主人公ただ一人で、当時の夢は彼のお嫁さんになることだった。
勇者になったのも、人類で一番強いと判明してしまったから担ぎ上げられただけだったりする。
転生前も転生後も恋愛経験はゼロ。
現時点(一巻)においての評価はC。
デスゲームに挑む主人公というのは基本的に自分の身を守ることは勿論、他の参加者の死者数も減らそうと
主に自身の頭脳と勇気、そして命を振り絞り、それでも一人の人間でしかないがために力は及ばず被害は拡大。
当然、元凶にして強大な権力財力悪意を持ち合わせている主催者たちを根絶することもできない。
現実は厳しいのだ、というのが常なわけですが、本作の主人公は元魔王という背景持ちであるがゆえに
リアリティなんぞ知ったことか! とばかりに暴れまわり、デスゲームを破壊しつくしていく様がスカッとします。
彼一人ではなく、元配下や元勇者まで仲間にいるので最早戦力過多ですらありますしね。
まあ、その分デスゲームそのものは毎度サクッと終わっちゃうので出オチにしかなっていないのですが。
本筋は異世界人による悪趣味なデスゲームを粉砕し、主催者も処した主人公たち。
しかし、他にもデスゲームは存在していると思われる上、何よりも黒幕たちは異世界にいるわけで…