バーガント反英雄譚 八街歩(富士見ファンタジア文庫)
史上最弱の英雄である少年の織り成す、異世界ファンタジー英雄譚。
味方も敵も姉妹、と家族間での争いなのに、スケールは世界レベルというギャップがインパクト抜群。
学園生活は一巻で終わり、後はひたすら国家レベルの問題に介入していくという息をつかせぬ
王道展開のダイナミックさも、ファンタジーらしい疾走感と派手さがあって良い感じです。
ラストは全てを滅ぼさんとするラスボスを倒し、世界は平和を、主人公は家族を取り戻したのだったエンド。
ラブコメ的にはヒロインたちが主人公を取り合う様子が描かれるも決着つかずで終了。
主人公は家族を守るために奮闘する騎士志望の少年。
騎士育成学園では類を見ないほどの落ちこぼれであり、学科も実技も最底辺。
しかし当の本人は己の状況を把握していながらも楽天的かつ楽観的、常にポジティブとイイ性格をしている。
また、普段から物腰穏やかであり、顔には柔和な笑みを浮かべていることが多い。
が、心の底では優秀な姉妹たちに劣等感や疎外感を抱き、自身の力のなさを嘆いている一面も。
基本的に人当たりは良いのだが、余計な一言を付け加えて相手を怒らせるタイプ。
ヒロインは天才騎士な妹や剣聖な妹を含めた十二姉妹、優等生な王女、堅物な同僚騎士、尊大な少女皇帝。
一番のお気に入りは優等生な王女様、リュリシア・ルショット・シャンベル。
ジュヴレーヌ王国の王女であり、時期王位継承者にして学園主席の才女。
王族特有の高慢さや優雅さが態度や口調に出ており、外見も派手ではあるものの
性根は優しく、他人を思いやれるという良君の資質を持っている。
過去の出会いを切欠に主人公に対してただならぬ想いを抱いているが、ツンデレな態度をとることが多い。
評価はC。
後発も含め、味方も敵もメインキャラのほとんどが主人公の姉妹という突飛さが新鮮で面白かったです。
ただ、最後まで肝心の主人公のキャラに好感を持てなかったのが大きなマイナス点だったかと。
段々成長してはいましたが、見ててイライラするキャラがどうしても受け入れられなかった…
本筋は形だけ見ると綺麗なハッピーエンドで纏まっていましたが、物的にも人的にも被害出まくりだし
ご都合主義が起こり、丸く収まって幸せになったのは主人公周りだけというのは英雄物語的にどうなんだろう。
まあ、私情のみで戦い、大切な人ばかりを優先するのは正にタイトル通り反英雄的ではあるので
ある意味、最初から最後まで主義主張が一貫していたと言えるのかもしれませんが。
結局「また家族皆で暮らしたい」という主人公の望み自体は叶ったわけですしね。
しかしモヤモヤするものが残ったのも事実なので、個人的には平和な日常を描いた後日談とか読みたいところ。