東京LV99   節兌見一(ダッシュエックス文庫)



異世界から帰還した勇者とありとあらゆる最強な相手たちの壮絶なバトルアクションストーリー。
大枠としては主人公が異世界召喚されて勇者として異世界を救い、元の世界に帰還を果たしてからの話ですね。
いわゆるアフターものになるわけですが、お約束通り、元の世界も裏では物騒だった!
という世界観になっており、勇者に魔法少女、人狼、元魔王など多種多様な存在同士が戦いを繰り広げます。
全編を通してとにもかくにもバトルバトルの連続であり、展開のスピード感は申し分ないのですが
その分日常パートが少なく、緩急の急ばかりであるため、勢いで読み切るのが吉かも?
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公がヒロインたちに好かれているのは間違いないようですが…

主人公は異能者たちが秘密裏に集められた高校に通う十六歳の高校生男子。
神隠しにあい、中学三年の冬からの二年間、勇者として異世界を救う旅をしていた。
誰かと力を比べあうための「戦い」の面白さに目覚め、東京での異能バトルにどっぷりのめりこんでいくことに。
外見上の特徴は髪の毛の一部と瞳が金色に変色し、右手の甲に剣を模した痣が刻まれていること。
確固たる正義感や優しさを持っているわけではないが、勇者らしく危機に陥った人を見捨てられないタイプ。
名前は「雷地(らいち)」なのに、初対面の相手から高確率で「電池(でんち)」と呼ばれること。
そして、暗記系の科目が極端に苦手であることが悩み。

ヒロインはからかい好きな魔法少女、男装の人狼、尊大な魔王。
一番のお気に入りは異能バトルの世界で主人公と出会うことになった男装の人狼、山神一狼。
日本に古くから存在する人狼の一族「山神家」の当主候補であり、東京の異能者界隈に詳しい。
性別は紛れもなく女性だが、人狼の源「ヤマガミサマ」の器として男のように育てられた。
スッとした鼻立ちに、凛々しい目、真ん中分けの髪型をした美少女で、学園三大美少女の一人。
その美貌やさっぱりした性格から「王子」の異名を持っており、一人称が「ボク」なナルシスト。
普段は爽やかに振る舞っているが、強い相手と戦うと性的に興奮する生まれながらの戦闘好き。
主人公の強さと成長性に惹かれ、彼を自分のモノにしたいと考えている、

現時点(一巻)においての評価はC。
この手の異世界召喚&転移アフターものの主人公というと、異世界では戦ってばかりだったがゆえに
実際にできるかどうかは別として、元の世界では平穏平和に暮らしていきたい、と考えているケースが大多数。
しかし本作の主人公の場合、本心では己の力を思う存分に振るい、戦うことを望んでいるという異端具合が珍しい。
バトルジャンキーとは少しニュアンスが違う感じですが、まあ、色々発散したいというのはわかります。
幸いにも作中における異能者同士のバトルはきちんと国家が運営する組織によって管理されていて
基本的に一般人には迷惑をかけないシステムになっているので望んでいる者同士が戦う分には無問題ですし。
異能バトル自体も殺し合いが前提というわけではなく、あくまで力の比べあいだから陰惨さもないですしね。
本筋は魔法少女な先輩と再戦するために異能バトルのランク上げ&修行に励む主人公ですが、さて。