本気を出したお兄ちゃんなら異種族お嬢様の
ハーレムを作ることぐらい楽勝です!
   佐倉唄(富士見ファンタジア文庫)



最強お兄ちゃんによるファンタジーラブコメストーリー。
三年前、異種族を排除するために人類が起こした戦争による傷跡が大きい世界が舞台となっており
主人公も戦争によって故郷と家族を失っていたり、目的のために犯罪組織に取り入ったりと背景は重め。
ただ、本編のノリ自体はラブコメらしく明るい部分が多いので読みやすいです。
そもそも、作中の目的がタイトル通り「異種族お嬢様のハーレムを作ること」ですしね。
勿論、その動機は不純なものではなく、必要性に駆られてのことなので納得と共に感情移入もしやすく
魔術と智謀を駆使したバトルシーンも見ごたえがあってエンタメ性はバッチリかと。
ラブコメ面は一人目の異種族お嬢様と結ばれるも、当然まだまだ異種族お嬢様は必要なわけで…

主人公は妹のルナのために、あらゆる異種族のお嬢様を口説き落とすことになった吸血鬼の少年。
滅ぼされた吸血鬼の王国の元第一王子。真面目で誠実な性格で、物腰も穏やか、礼儀も備えているが
その真っすぐさゆえに自分のことを、妹のために他人の血を欲する悪人と定義している。
世界でたった一人の家族である妹のルナのためならなんでもするつもりでいる。

ヒロインは破天荒なエルフお嬢様、ブラコンな吸血鬼妹。
一番のお気に入りは植物状態であるためトランクの中が定位置な主人公の妹、ルナ・ノワールエヴァンジル。
流れる水のようにサラサラで、晴れた夜の月のように綺麗な銀色の長髪の美少女(胸は小ぶり)。
両親が死に、故郷が燃やされても自分のことを守ってくれた兄を世界で一番愛している。
唯一の肉親である主人公相手には饒舌だが、それ以外には内気。
ただし、必要だとわかってはいても兄に近い女性は基本的に嫌いであり、嫌味を口にすることも。

現時点(一巻)においての評価はC。
譲れない理由があるとはいえ、打算でヒロインたちを口説いてハーレムを作ろうだなんて……
と、最初の頃こそ主人公に不満を覚えてしまいそうではありますが、妹のためという動機が動機ですし
出会いにマッチポンプを使うことこそあれど、その後の言動は誠実で真摯。
そもそも素の性格自体が真っすぐすぎて陰謀向きでないため、好感度が上がる一方なのがグッド。
そりゃ妹もブラコンになるし、ヒロインたちもガチ惚れしちゃいますわな。
本筋は外道の権化の一人である勇者を撃破し、エルフのお嬢様を口説き落とすことに成功した主人公。
次なる目的地は連続失踪事件が起きているらしい、海沿いの獣人が多い領地。