なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ 夜迎樹(富士見ファンタジア文庫)
史上最もヒロインが禍々しい学園ファンタジーストーリー。
本作は大雑把に言うと、ファンタジー世界における召喚師を育成する学園を舞台にした話なわけですが…
内容以前に、表紙のコズミックホラー感溢れるクリーチャーのインパクトがとにかく凄い。
これ、主人公の召喚獣であり、性別的には雌ということで、メインヒロインなんですよね恐ろしいことに。
いや、彼女(?)自体は見た目がヤバイだけで、人に害意があるわけではないのですけども
目に入るだけで精神をぶっ壊したりはしているので、超がつくほどに危険ではあるという。
実際、作中では人間のネームドヒロインですら精神崩壊一歩手前まで追い込まれていたりしますし。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というかこの主人公と恋愛できる人間はいるのだろうか…?
主人公は庶民ながら貴族ばかりの王立召喚学園に入学したど田舎のシアワセ村出身の少年。
明るく天然でポジティブ、物怖じしない性格だが、内面は辛辣というか皮肉屋。
己の召喚獣ハッピーで慣れているためか、見た目で相手を判断することはないが
自分の感性のおかしさを認識できておらず、そのくせ変なところだけ常識人なところがある。
ヒロインは妹同然の召喚獣、献身的な召喚獣、プライドの高いお嬢様、妖艶な狐娘、過保護な天使。
二巻にて尊大な魔導師と脳筋聖女が参入。
一番のお気に入りは主人公第二の召喚獣、ハイドラ。
下半身から触手が生えている、しっとりと濡れた紫の髪が艶やかな美少女。
その異形の姿のために迫害を受けてきたがゆえに、自分を受け入れてくれた主人公に心酔している。
気弱な性格で後ろ向きなところがあり、褒められ慣れていない。
現時点(二巻)においての評価はC。
王立の名門学園に入学した田舎出身の平民主人公が入学早々に高慢な貴族に因縁をつけられて決闘。
と、序盤の展開だけならばファンタジー学園もののテンプレに沿っている本作ではありますが
主人公の相棒の超ド級の異質さがそんなありきたり感を完全に破壊している印象。
決闘に勝利し、貴族ヒロインと親しくなるという流れもお約束通りなのに、その過程が酷すぎるw
というかこの作品、一番ヤバイのは召喚獣ではなく、その主人である主人公なんですよねぶっちゃけ。
パッと見はちょっと世間知らずだけど人懐っこく善性という典型的な田舎少年なのに
その実、異質な召喚獣にまったく忌避感を抱かず、それどころか彼女が出した被害にも頓着しないという
天然ってだけじゃ無理があるだろってレベルのサイコパスですし…
本筋は危険な遺物を巡る騒動を経て、中立国の聖女と仲良くなった主人公。
しかしその結果として大戦争が起きることになるようで…?