ウチの彼女が中二で困ってます。　　　日の原裕光（富士見ファンタジア文庫）



中二病を患った少年少女たちのドタバタコメディ学園ライフストーリー。
この作品における中二病は「中枢神経第二覚醒症候群」の通称でありネット用語的な意味ではありません。
分類的には学園異能モノということになります。勿論文字通りの中二病なキャラもいますが。
雰囲気は全体的に軽め明るめな感じですが、世界観やキャラの背景などは何気に重かったりも。
全体的な流れとしては、バトルやラブコメをしつつ、トラブルを解決していく形式の模様。
ラストは俺たちの戦い＆恋はこれからだエンド。
特に何かが大きく変わったわけでもなく、いつもの日常が続いていく典型的な打ち切りエンドですね。

主人公はヤッカイさんと呼ばれる少女に目をつけられ、面倒に巻き込まれてしまった少年。
女の子にモテたいがために、クールキャラ＆紳士を目指し、自称しているのだが
客観的にはただの格好付けでしかなく、自意識過剰で意欲が空回りしてばかりだったりする。
しかし、その性根だけは本物であり、女の子を守り優しくしようという態度は口だけではない。
また、過去の後悔から、自身に助けを求める手は掴む主義でもある。
能力は「自分の名前を書いたモノの姿を存在感ごと消す」というもの。覗き御用達ですね！

ヒロインは唯我独尊クラスメイト、恋愛脳な巨乳お嬢様、小悪魔な幼女、合法ロリクール転入生。
一巻にて本格登場の伏線を張っていたブラコン妹や、おっとり系巨乳上級生は結局未登場のまま終了。
一番のお気に入りはサマードレスの似合うお嬢様同級生、神無宮絵麗奈。
学園一の巨乳の持ち主であり、抜群のプロポーションと美人系の顔立ちと外見はほぼ最強クラス。
また、幼少時から花嫁修業をさせられるほどのお嬢様でもあり、実際所作はお嬢様らしい。
しかし普段は行動言動共にガサツであり、すぐに手が出るタイプ。しかも大の恋愛脳だったりする。
とはいえ、怖いものが苦手で負けず嫌いだったり寂しがり屋だったりと普通の女の子らしいところも。
能力は「恋をするほど強くなる。しかし、恋をしていなければ体調不良を引き起こす」というもの。

評価はＢ。
設定はそれほど目新しいものではないものの、キャラが上手いこと活き活きと動いていたのが良かったですね。
それぞれの言動にブレがなく、一貫性があったのでストレスを感じることがありませんでしたし。
展開はやや強引なところが所々であったものの、そこは勢いで流せる程度でしたしね。
ただ、ノリとテンポ重視な作風なのに、ひとたび日常の裏側を覗くと黒い大人の事情ばかりだったという要素は
最後まで全体のバランスを悪くしていただけで、マイナスにしかなっていなかった印象。
まあ、単にドタバタ学園異能コメディばかりだと、他の作品との差別化ができなかったでしょうが…