侯爵次男は家出する 犬鷲(角川スニーカー文庫)
虐げられていた元貴族の成り上がり冒険譚。
大枠としてはざまぁ系の話になるのでしょうか。主人公は自主的に出ていったので追放はつきませんけどね。
侯爵家次男、才能があり努力もできる、まともな婚約者がいる。と、この手の話の主人公の初期環境としては
かなり恵まれているものの、優秀過ぎる兄がいる、という一点のせいで不遇をかこっているのが不憫。
あくまで兄と比較したら劣る、というだけで十分優秀だし人格にも問題がないだけにやるせなさが大きく
唯一の味方が、ある意味ではすべての原因である兄一人というのもツライ。
そりゃ家を飛び出してしまっても仕方がないわな、と納得できてしまいますが、それだけに冒険者として
裸一貫で第二の人生を歩みだし、成り上がっていく様が実に爽快でスラスラと読み進めることができます。
ラブコメ面は帝国の三姉妹(女帝含む)全員と肉体関係を持ち、聖女もゲットとどこまで行くのか主人公。
主人公は神童の兄と比べられ続ける侯爵家での生活を捨て、冒険者として第二の人生を歩むことになった少年。
普段は不愛想ながらも落ち着いているが、敵には容赦がなく、イザとなると心に任せて動いてしまうタイプ。
実は絶倫であり、酒に酔うとケダモノになって女性を抱き潰してしまう悪癖持ち。
出世欲や名誉欲、金銭欲は薄く、心の底にある望みは自分を認めてくれる誰かに頼られること。
ヒロインはお転婆な第三皇女、妖艶なダンジョンボス、自由人な第二皇女、雄々しき女帝、心優しき聖女。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(二巻)においての評価はC。
主人公の国の人間、兄以外見る目なさすぎる奴らだらけ、の一言。
相対評価だから仕方がないと言えばそれまでですが、それで優秀な人材を失ってたら世話ないですわな。
まあ、一番不憫なのは主人公の兄でしょうが。自分のせいで大事な弟が出ていったわけですし。
とはいえ、自分を知る者がいない地で活き活きと新たな生活を満喫し、大成までした主人公を見ていると
これで良かったとしか言えないのが運命の皮肉。冒険者である主人公に救われた人も多いわけですしね。
本筋は聖女を助けて教国を救い、続けざまに王国と兄を救って功績をあげ、家族とも和解した主人公。
しかしその裏では騒動の黒幕が着々と目的へと駒を進めていて…?