営業課の美人同期とご飯を食べるだけの日常 渋谷瑞也(電撃文庫)
恋と仕事と、美味しいご飯。同期の二人が育む社会人ラブコメストーリー。
主人公もメインヒロインの秋津ひよりも社会人という設定の作品ですが、お仕事ものっぽさは薄め。
激務な社畜生活をおくる主人公が、ランチや仕事の後の飲み、自宅での自炊食事といった休息の時間を
同じ会社で働く美人同期であるひよりと共におくる、メシテロ要素がメインなほのぼの日常物語になっています。
現代日本が舞台なので当然出てくる料理の品目は身近なものばかり。なので空腹時には読まないのが吉。
ラストはメインヒロインである秋津ひよりへのプロポーズを成功させ、ハッピーエンド。
主人公はインテリアメーカー勤務のサラリーマンな二十七歳の青年。
膨大な量の残業を担う事務課の苦労人で、面倒見の良さもあって後輩たちから慕われている。
真面目な性格で自己顕示欲や出世欲が薄い裏方気質だが、学生時代から能力は優秀。
一人暮らしでもしっかり自炊をしているだけあって、料理の腕はかなりのもの。
ご飯を食べている時は周りが見えなくなるタイプ。
ヒロインは営業課エースの同期、素直な後輩、サバサバ系な元カノ。
一番のお気に入りは主人公と同じ事務課の後輩、春海うらら。
ポニーテールの黒髪とブラウンの瞳が可愛らしい美人。
穏やかで柔らかく、少し天然ながらもどんなことにも前向きな性格。
学生時代はずっと女子校だったからか、礼儀正しく所作が綺麗と育ちの良さがうかがえるが
新社会人らしい初々しさを見せつつも恋愛には結構積極的。主人公のことを尊敬している。
大学時代から一人暮らしをしており、料理の腕は人並(親が厳しく昔習っていた)。
評価はC。
ラブコメを謳いつつも、露骨に男女の関係を意識させるようなやり取りやイベントを盛り込むのではなく
距離感こそ近いものの、恋愛関係ではない、しかし時折確かな慕情がハッキリと見える。
そんな社会人らしい、曖昧だけど良い関係だなと羨ましくなる二人の関係が素敵な作品。
というか、ひよりが本作のヒロインとして強すぎる。外堀も内堀も埋めてくるとかどう抗えというのだと。
完全に噛ませ犬扱いにしかなっていない元カノや後輩ちゃんがお気の毒でしかない…
本筋は順当すぎるほどに順当な流れのまま幕となり、二巻完結でも長かったのでは? というのが正直なところ。
あと、個人的にはヒロイン三人の名前に秋、春、夏と四季が入ってたのに、冬がいなかったのが地味に気になる。