ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた
八又ナガト(GA文庫)
悪役ムーブ×勘違いで成り上がる、痛快モブ悪役ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。転生先は最早テンプレともいえる悪役貴族。
一風変わっているのは主人公の目的。この手の原作あり世界の悪役に転生した場合
死にたくない、破滅したくないと既定路線の回避を望み、そのために努力するのが常ですが
本作主人公は満足いく形ならば最後に殺されるのもかまわないと、死を受け入れてしまいます。
なお、満足いく形=自身が原作ラスボス以上の悪のカリスマになって主人公やヒロインたちに倒される
なので、様々な悪事を行っていくことになるわけですが、その全てが裏目に出ることになるのはお約束。
ラブコメ面は無自覚にヒロインたちにフラグを立てまくっていく主人公ですが、さて。
主人公はゲーム「アルテナ・ファンタジア」のラスボスの配下として処刑されるモブ悪役貴族に転生した青年。
重労働によって過労死した社畜、という前世を悔いており、そのため現世では死に方に拘った結果
自身がこの世界のラスボスとなることを決意、悪のカリスマを目指すことにした。
転生先の肉体のスペックの高さもあって、自信家で尊大な性格。目的のためならば悪行も平然と行えるが
思い込みが激しいことと、短絡的な性格が相まって思い通りに事が進まない場合が多い。
前世の頃からレバーが苦手(特有の生臭さがどうしても耐えられない)。
ヒロインは忠義過剰なメイド、気高き王女、元同級生な剣士、活発な弓使い、気立ての良い平民娘。
一番のお気に入りはソルスティア王国の第一王女、ソフィア・フォン・ソルスティア。
月光のような白銀の長髪と、透き通るような青色の瞳が特徴的な美少女。
ゲーム原作においては攻略対象の一人にして、パッケージの中心に立つメインヒロイン。
プライドが高く気丈な性格だが、才能に恵まれていたがゆえに周囲からの期待を一身に受けることとなり
それが重圧となっていた。それゆえに、王族のプレッシャーから救ってくれた(と思い込んでいる)
主人公のことを慕っており、更には彼から指輪を渡されたことでプロポーズをされたと勘違いしている。
現時点(一巻)においての評価はC。
悪役道邁進のための悪行が裏目に出たり、言動が勘違いされて何故か勝手に印象が上がっていく。
望みと結果が逆になるという勘違いものの王道を行くコミカルな作風が読んでいて愉快痛快。
一応主人公はガチで悪行を働いてはいるんですけどね。結果が善行になってしまっているだけで…
そんな彼の周囲に集まるヒロインたちも、思い込みでどんどん好感度を上げていくわけですが
まあ、当事者たちには主人公の内心が見えない以上、彼が名君に見えるのは至極当然ですわな。
結果だけ見ていれば、毎度のように最善最高を為しているわけですし。
本筋は王都に襲来した魔王軍四天王の一人による陰謀を自覚なく打ち砕いたことで
英雄として称えられ、出世までしてしまい、悪役からどんどん遠ざかってく主人公ですが…?