絶世の美少女騎士は俺のガチ恋オタクでした   蒼塚蒼時(富士見ファンタジア文庫)



女騎士達の恋心が暴走する、熱烈愛されファンタジーストーリー。
大枠としてはタイムリープものですね。と言っても、二百年後の未来からやってくるのはメインヒロインである
シャーロットであり、主人公自身は未来の英雄(予定)とはいえ、騎士候補生(秘密アリ)でしかないのですが。
本作はメインヒロインがガチ恋オタクであり、その対象が未来の主人公という設定がとにかく面白い。
ガチ恋オタクという、現代学園ラブコメものであればギャグ担当のイロモノにしかならないキャラが
タイムリープやファンタジーといった要素が加わることで物語の核として活躍を見せるのが実に新鮮。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロインたちと良い雰囲気になることはありますが…

主人公は境界騎士団の養成所に所属する騎士候補生の少年。
二百年後の未来からやってきた女騎士シャーロットから、未来では英雄になると聞かされ戸惑うことに。
負けず嫌いかつ正義感の強い性格で、これ以上誰も死なせたくないから騎士になった。
訳あって目立たないように養成所では手を抜いているが、座学は本当にダメダメ。

ヒロインはガチ恋オタク騎士、あざとい後輩、穏やかな幼馴染。
一番のお気に入りは主人公の幼馴染にして飛び級で解析員となった才媛、オフィーリア・オーフィング。
雨雲色の長髪と巨大な胸の膨らみが目を惹く美少女。
心優しく純粋で穏やかな性格で、見る者の心を落ち着けるような包容力の持ち主。
十四年前の侵略災害以来の付き合いである主人公ことを家族同然に想い、深く信頼し、常に気にかけている。
未来においては人類の敵である侵略種から数多の技術を解析したとして主人公同様に歴史に名を残している。

現時点(一巻)においての評価はC。
ただひたすらにメインヒロインであるシャーロットの癖と存在感の濃さが目を惹きまくる作品。
未来の偉業を考えれば主人公もポテンシャルは十分凄いですし、実際作中でもその片鱗を見せてくれますが
ヒロインたちに振り回されっぱなしになっている場面のほうが印象に残るという不憫さ…
いや、ちゃんとファンタジーらしく、シリアスな異能バトルシーンもあるんですけどね。緩急利きすぎである。
本筋は悪の未来人と将来の脅威の一体を撃破することに成功した主人公。
しかし歴史通りの、更には歴史が変わったからこその新たな敵の可能性など、苦難はまだまだ多そうで…?