お隣の美人エルフの距離感が近すぎる件   福山陽士(富士見ファンタジア文庫)



ニートエルフと奏でる、ほのぼのいちゃラブコメストーリー。
大枠としては同じアパートで暮らす住人達のご近所付き合いをメインにしたハートフルストーリーですね。
アパートの住人の中にはエルフだの精霊だのと、明らかに人外な見た目の存在が混じっているわけですが
当作品は変哲のない現代日本が舞台であるため、当然ファンタジーな存在は異端ということになります。
しかしそんな人外住人たちに対して「いやおかしいだろ」という違和感を抱いているのは主人公だけ。
他の人間は疑問を抱かず、普通に異常を受け入れているという不思議でとぼけた状況が妙に笑えます。
いやまあ原因は認識阻害魔法で、主人公は例外というだけというのが真実なのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか進展があっても寿命差問題をどうするのか気になるところ。

主人公は自宅から少し遠い高校に通うため、アパートで一人暮らしをはじめた高校生の少年。
小学生の時に森で見つけた謎の芸術作品に魅入られ「自然工芸部」という部活に入部した。
お人よしかつ基本的に人畜無害、尖ったところがない常識的な性格で、念には念を入れたいタイプだが
中学生まで「ちょっと変わっている」と周囲からほんの少し心の距離を置かれていた。

ヒロインはニートなエルフ。サブに天然な同級生、ヤンデレ気質なお嬢様、しっかり者な亜精霊双子など。
一番のお気に入りは主人公の隣の部屋に住んでいるエルフのお姉さん、森江ルフ。
胸のあたりまで伸びた柔らかそうな金髪、森のような緑色の瞳、長い耳を有する巨乳美人。
恥ずかしがり屋だが、自分の服装には無頓着であり、大胆な恰好でいることが多い。
また、見た目はエルフらしく上品で清楚ながら、中身は高貴さなど欠片もないポンコツで喜怒哀楽が豊か。
幼い頃、一人称を変えるだけでちょっと強くなれた気がしていたがゆえに、人前では「妾」を一人称としている。
基本的にゲームばかりしているニートで、ゲームのようなシチュエーションが現実で起こると興奮する。
地球へやってきた理由はエルフ同士の争いを止められなかったことに心が折れたから。

現時点(一巻)においての評価はC。
エルフや精霊、ひいては異世界の存在が作中で明示されている本作ですが
異世界からの侵略とか、怪物退治とか、人外間での異能バトルとか、そういう物騒な展開はありません。
魔法が使われるシーンはありますが、戦闘目的ではないですし、あくまでメインはご近所付き合いという日常。
世界観は平和そのものなので、素直にお隣の美人エルフことルフのギャップ可愛さを楽しむべし。
本筋ははげ山を魔法の力で元の緑溢れる山に戻し、再び平和な日々へ。