愛とか恋とか、くだらない。   雲雀湯(ガガガ文庫)



一人の少年と一人の少女が不純な関係を結びつつ、それぞれの在り方を考えていく青春不純ラブコメストーリー。
大枠としては不純愛ものですね。と言っても浮気のような世間的に後ろ指をさされる関係とかではなく
恋愛感情なしに性欲優先で肉体関係を結んでしまっただけの主人公とヒロイン、という構図なので
不純愛ものの設定としてはマイルドかと。いやまあ、比較したらの話であって、これはこれで問題ありなのですが。
主人公のお相手となるメインヒロインの倉本涼香は親友の妹にしてひとつ年下の幼馴染。
という、ポジション的には正統派純愛ヒロインになりがちな女の子だから猶更背徳感がありますしね。
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公か涼香のどちらかが恋愛をすれば話は動くのでしょうが、さて。

主人公はひとつ年下の幼馴染である倉本涼香と期限付きの不純な関係を持つことになった高校二年生の少年。
両親の不仲と、異性に騙されて痛い目にあったことから恋愛に忌避感じみたものがあるが、誘惑には弱い。
学校での立ち位置は陽キャとも陰キャとも言えない中間層。友達思いだが、流されやすい性格をしている。

ヒロインは気安い幼馴染。昇格候補に大人しい同級生なども。
一番のお気に入りは主人公とは中学時代のクラスメイトにして同じ図書委員に所属している同級生、上田紗雪。
垂れ目がちな大きな目に、綺麗で艶のある髪を肩口で揃えた、華奢で儚く大人しい印象の美少女。
控えめで謙虚、物静かでおっとりとした性格をしているが、本のことを語る時は嬉々として饒舌になる。
また、弟がいることもあってか、お姉さんらしい包容力や頼もしさを見せることも。
持ち回り担当ではないにもかかわらず、図書室の受付で読書しているほどの本好き。

現時点(一巻)においての評価はC。
主人公と涼香、親友男と涼香の友人。対比の対象となるこの二組が織り成す青春模様に引き込まれます。
片や肉欲に先走った不純な関係性からはじまる純愛、片やラノベらしい青臭さに溢れた微笑ましい純愛。
愛とか恋とか、それらは本当にくだらないものなのか、それとも……と、深く考えさせられる作品ですね。
他の不純愛ものの作品とは違い、不純な部分は主人公と涼香の関係性のみなので安心して読めるのもグッド。
特に他人に迷惑をかけているわけではないし、彼らのせいで不幸になる人間がいるわけでもないですからね。
まあ、今後の人間関係の変化(新キャラ投入とか)で拗れる可能性は高そうではありますが…
本筋は性欲で恋愛に振り回されないための、相互協力関係(実質セフレ)を結んだ主人公と涼香。