シスターと触手   川岸殴魚(ガガガ文庫)



シスターに導かれて己の欲望を解放し、世界を支配からも解放するインモラル英雄ファンタジーストーリー。
タイトルからしていかがわしさに溢れていますが、正教会によるスキル差別が世界を支配しており
そのせいで主人公が処刑されかけたり、世界を支配から解放するべく戦うことになったりと内容は結構シリアス。
勿論、メイン武器(?)が触手なだけあってお色気要素(挿絵含む)もそこそこの頻度で登場するものの
その描写の濃さはエロ主体の作品ほどではなく、ライトエロの範疇に収まっている程度なのが意外かも。
ラストは女神へと至らんとする大聖女との決着をつけ、人々は壊れた世界で生きていくのだったエンド。
ラブコメ的にはメインヒロインのソフィアと結ばれ、結婚して終了。

主人公は冤罪によって魔女認定され、処刑されそうになってしまうも
邪眼の聖女シスター・ソフィアのキスで最強の能力「触手召喚」の力を覚醒させた青年。
常識的で善良な性格だが、触手を出している時は良く言えば男らしく、悪く言えば粗暴になってしまう。
魔女認定されるまでは高齢のお爺さんと二人きりで暮らしていた(両親は幼い頃に亡くなった)ため
日々の仕事をこなすのに精一杯で友達などできる暇がなく、当然女性とも縁がなかった。

ヒロインはマイペースなシスター。サブに酒飲みエルフ、勝気な魔女、存在感ゼロ魔女、勝気な王女なども。
特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

評価はC。
まず、タイトルからは想像できないレベルでダーク&ハードな世界観になっていることに驚きました。
敵も味方も容赦なく首が飛びますし、敵側の腐れ外道っぷりも半端なかったですし。
まあ、主人公の戦闘手段が触手ということで、ビジュアル的には完全にコメディだったですが。
とはいえ、シリアス部分の重さをある程度中和というか、清涼剤になっていたのも間違いないわけで…
キャラに関しては、いきなり処刑されかけるわ、目覚めた能力が触手召喚だわと不憫すぎる主人公に涙。
とはいえ、最後は幸せを掴めたので結果オーライ?
本筋は形こそ敵対組織とラスボスを事実上退場させてのハッピーエンドになってはいるものの
ラスボスは結局本懐を遂げているので実質勝ち逃げのようなものですし、主人公サイドも失ったものが多すぎと
どうにもスッキリしない終わり方だった印象。ラストバトルも絵面はともかくシリアス一辺倒でしたし
メインテーマであるはずの触手ならではの活躍も然程ではなかったのが残念なところ。