召喚学園の魔術史学 中谷栄太(GA文庫)
文字通り空から落ちてきた魔術学園を舞台にした、現代魔術アクションストーリー。
ダンジョン探索メインの話のなのかなと思いきや、トラブル解決や異能バトルも盛りだくさん。
そういう意味では肩透かしをくらったというか、ごちゃごちゃしすぎで変則さだけが目に付くというか。
用意されている素材はどれも魅力的ではあるのですが……
ラストは学園の危機を乗り越え、色々な問題は片付いたけど学生生活はまだまだ続くよエンド。
ラブコメ的には進展なしのまま終了。ヒロイン側はともかく、主人公のスルー能力が高すぎである。
主人公は妹を追ってミストルティン魔術学園にやってきた少年。
変わり者の妹を長年相手にしてきたせいか、面倒見のよい性格で、それなりに察しも良い。
大のインディ・ジョーンズ好きであり、子供の頃は考古学者になることを夢見ていた。
そのため、古代文明や遺跡、罠や仕掛けのことに関してはかなり詳しく、観察力もあり鞭の扱いも上手い。
また、妹の手前、普段は押さえ込んでいるものの、冒険心が強く、未知に挑むのが大好き。
会話においては、ボケとツッコミの両方いけるタイプ。
ヒロインは人見知りの探偵、ドSでブラコンな妹。
他にも、ヒロイン化するかは不明ながらも風紀委員長や学園長、学級委員長など、女性比率は高い。
一番のお気に入りは八代目魔術探偵、遊形花菱。
極度の人見知りで人付き合いが苦手。なおかつヘタレで小心者とおおよそ探偵向きな性格ではない。
しかも人のいう事をすぐ信じたりもするし、押しに弱く褒められるのにも弱い。要するに滅茶苦茶チョロい。
普段は当然の如くぼっちキャラであり、対人関係におけるネガティブなことに関してはとても敏感。
更に、性格的にも面倒くさい部分もあったりといろんな意味で残念な女の子。
でも戦闘能力や洞察力は結構高めだったりする。あと、何気に猫の鳴き真似が上手い。
評価はC。
とにかく主人公とヒロインの掛け合いが楽しい作品。
小気味良いテンポのボケツッコミ会話と、時折役割が逆転する意外性が読んでいて愉快でした。
一方、肝心の本筋は、学園ものとしては日常感が薄く、謎解きものとしてはバトルに描写割かれすぎ。
冒険ものとしてはワクワク感がない、ラブコメものとしては甘酸っぱさが皆無すぎ。
と、全てが中途半端だったというか、読みはじめに抱いた期待をことごとくすかされた感じでしょうか。
全体としても、ダンジョン探索冒険がメインかと思いきや、結局は陰謀とバトルがメインになっていた印象ですし。
特に一巻登場の敵を延々と引っ張り、最後は「実は良い奴」みたいなまとめだったのも釈然としませんでしたし。