フェアリー・バレット   三嶋与夢(GCN文庫)



空を翔る鋼鉄の少女と戦場で育った歴戦の兵士がおくる、ヒロイックSFファンタジーストーリー。
大枠としてはSF要素満載な学園バトルものですね。「偽獣」と呼ばれる異界の化け物からの侵攻を受けている
近未来の地球が舞台。対抗できるのは、女性にしか扱えないパワードスーツ「ヴァルキリードレス」のみ。
と、ここまで来れば、主人公は男でありながらヴァルキリードレスを装着できるがゆえに女の園で黒一点に。
というお約束の展開を予想してしまいますが、その予想を外してくるのが本作の特徴。
黒一点は正しいものの、主人公の戦う力はヴァルキリードレスではなく人型兵器(搭乗型ロボット)なんですね。
パワードスーツの美少女と無骨なロボットが共に戦場を駆ける姿は実にミスマッチ、だがそれがいい。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は今まで一度も実験が成功していない、 対偽獣人型兵器のテストパイロットを務めることになった青年。
任務遂行のため、鋼鉄のドレスを装着し戦う彼女たちを育成、運営する機関「第三学園」に赴任することに。
子供の頃に両親を亡くし、それから対妖魔精鋭特務機関に拾われ、偽獣を殺すためだけの兵士に育成され
戦場に出てからは、淡々と命令通りに偽獣を殺すサイボーグと周囲からは呼ばれていた。
軍人らしく、真面目で堅い性格をしており、感情に乏しいが、その心底は仲間想い。
色恋については経験も興味もないが、異性のことを意識しないわけではない。

ヒロインは気が強い戦乙女。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
女性が戦闘において活躍する世界の女学園に放り込まれた唯一の男である主人公。
と来れば周囲との軋轢がテンプレですが、主人公が戦場育ちのガチ軍人であるがゆえに悪意に対して
安易な反応をしないため、フラストレーションは然程たまらない印象。そも、忌避されるだけの理由はありますし。
だからこそ、泥臭くもがきながらも前に進み、成果と信頼を得ていく彼の姿に胸が熱くなるのですが。
本筋は己の力を示し、エースからのスカウトを受けた主人公。しかしその裏では政争に巻き込まれはじめ…?