スペースオーク 日野久留馬(オーバーラップ文庫)
銀河を舞台に培養豚が大暴れする宇宙蛮族略奪活劇。
大枠としてはスペースオペラものですね。宇宙を舞台に戦闘機同士がバトルを繰り広げる物語です。
SF作品であるにも関わらず、主人公がオークであるという点が一風変わっている感じ。
能力は勿論、見た目も完全にファンタジーでよく見かけるオークなので、最初は違和感が結構凄いかも。
まあ、そもそも作中における科学力(ハイテクな宇宙戦闘機が主要兵器でワープもある)はSFらしく高いのに
それを利用している生命体の社会性は蛮族そのものと、世界観事態に齟齬がありまくりではあるのですが。
あと、主人公は二十一世紀の人間の記憶をインプットされているという設定なので、転生ものの要素も。
ラブコメ面は本命の女王には思い届かず、しかしその娘には好かれている主人公ですが、さて。
主人公は他部族出身の培養豚でありながら、常に実戦に身を置き功績を上げ続け
女王マルヤーを自分のものにしたいという野望を抱いているトーン=テキン氏族の若き戦士。
二十一世紀の地球人の記憶を知識をしてインプットされていて、そうであるがゆえに他のオークと比べて
温厚で理知的な性格をしており、頭を使うこと、学ぶことへの忌避感がなく、物欲も薄い。
口先八丁と頭の回りが最大の武器だが、腕っぷしも一級品。何事もシニカルに分析する癖がある。
ヒロインはボクっ娘女王、天真爛漫な王女、マイペースなフービット。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
他部族出身という外様ゆえに自勢力で低い扱いを受けている主人公が活躍を繰り返して立身出世!
と、内容だけ見れば王道の成り上がり物語なのですが、彼を中心とした主要キャラたちが異色すぎである。
メインヒロイン(?)である女王はほぼ常に妊娠中の多産婦ですし、主人公はそんな彼女に執着して
童貞を貫いていたりと、正統派なライトノベルらしさからかけ離れている感があります。
それでもサクサク読み進めることができるのは、主人公の精神性が二十一世紀の人間という身近さ。
その上で蛮族なオークの精神性も共有しているというバランスの良さがあるからなのでしょう。
本筋はオークナイトとの決闘に勝利し、女王からの評価や人材をゲットした主人公。
しかし同時に厄介事も抱え込む羽目になり…?