天下の大悪人に転生した少年、人たらしの大英雄になる
                                                 千月さかき(オーバーラップ文庫)



天下の大悪人に転生した少年が最強の大英雄となる悪役転生ファンタジーストーリー。
大枠としては異世界(ゲーム世界)転生ものですね。主人公の転生先は天下の大悪人として倒される悪役。
原作知識がある主人公は破滅回避のために行動を起こすことに、というお約束の流れで話は進みます。
本作のメインヒロインポジションにあたる義妹の柳星怜が原作通りであれば傾国の悪女となる予定であったり
舞台となるRPG世界が中華風であったりする点が特徴として目を惹く感じでしょうか。
あと、主人公が無自覚の天然人たらしということで、勘違いものの要素もあります。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロイン二人のフラグは確定のようですが…

主人公は中華風RPGゲーム「剣主大乱史伝」にて天下の大悪人として滅ぼされる運命の悪役に転生した少年。
物腰穏やかで理知的な性格だが、努力家で自分のことよりも他者を優先して助けることができるお人よし。
また、無自覚天然の人たらしでもあり、そのくせ色恋には鈍感と何気に女性の敵。
二度目の人生では地方の小役人になって乱世が終わるまでやり過ごすことを目標としている。
ずっと父親の文書の代筆をしていたため、字が上手い。

ヒロインは薄幸の義妹、男装の兄弟子。
一番のお気に入りはゲーム本編では十年後に「傾国の悪女」として成長するはずだったが
主人公の行動によってその運命を大きく変えることになった義妹、柳星怜。
銀色の髪と、赤みがかった瞳が特徴的な美少女。
故郷では他の人間と見た目が違うことでまわりから敬遠されていて、動物を友としていた。
人見知りで大人しい性格だが、色恋には結構積極的な一面も。
自分の心を救ってくれた主人公に好意を抱いている。

現時点(一巻)においての評価はC。
主人公が本来背負うことになるはずの「天下の大悪人」という肩書きとは正反対の好人物であるがゆえに
次々とヒロインや有力キャラを味方にし、原作にない成長をもたらしていく、という展開が実に愉快痛快。
一巻終了時点にしてもう完全に原作ブレイクしている感がありますしね。
ヒロインたちをはじめとした味方たちも頼もしく、魅力に溢れていますし、雰囲気の良さが素敵。
それでもゲーム本編にない要素も出てくるなど、容易には破滅の未来は変わらないようですが…
本筋は任務の最中に遭遇した強敵を撃退し、大きく運命を変えることに成功した主人公。
しかし破滅の未来は未だ変わらず、それを後押しする組織や設定にない脅威も存在しているようで…?