シスターサキュバスは懺悔しない   折口良乃(電撃文庫)



聖なる神父と性なるシスターがおくる人外ハーレム&ドタバタコメディ。
と、コメディ重視っぽく銘打たれてはいますが、内容は意外にしっかりしています。
勿論ドタバタ色は強いのですが、ご都合主義を多用せずに筋道がちゃんとしているというか。
起承転結がシッカリしているので読みやすいですね。
ひとつの話を一巻かけてやるのではなく、短編連作型なので読みやすさ&わかりやすさもありますし。
ただ、ハーレム部分に関しては、単純に出てくるキャラが女性ばかりなだけ感がありますが。

主人公は人外お悩み相談に苦労する聖職者見習いの青年。
線が細く、弱気な物腰から、なよなよして少し頼りないという印象を周囲に与えてしまっている。
大のお人よしで、人に仇なす異種族に対しても、恐怖や畏怖を覚えることこそあれど拒絶は絶対にしない。
また、意外に頑固なところがあり、自分の望みを通すためなら無茶を行うことも。
それなりにグラつくことはあれども自制心は結構強く、実は怒らせると怖いタイプ。
武術の才能はなく、頭を使う方が得意。

ヒロインはシスターなサキュバス、勝気な義妹的存在。
ヒロイン昇格候補として、真面目なデュラハン、毒舌なシルキー、女好きなドラゴン、ゾンビな吸血鬼等。
三巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(三巻)においての評価はC。
ファンタジーな世界観なのに、バトル要素がほぼ皆無なのが新鮮でいいですね。
あっても、騒動の解決手段として無理なく簡潔に挿入される程度ですし。
バトルを入れてはダメ、というわけではないのですが、とりあえず入れとけって作品が多いですからね最近は。
反面、盛り上がりに欠けるというか、全体的に地味さが出てしまうのは残念なところですが。
基軸が「主人公が人外の懺悔(相談&愚痴)を聞く」という構成なため
新キャラどんどん投入されて賑やかなのはいい感じなのですが。
しかしラブコメ的に、聖職者は妻帯不可(恋愛禁止)という縛りはどうクリアするつもりなのだろうか…