美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか 芝宮青十(電撃文庫)
「エロス大魔神」と偽る少年と、変人少女たちとの造形青春ラブコメストーリー。
大枠としてはクリエイターものになるのでしょうか。と言っても主人公はプロでも志望でもないのですが…
クリエイターものというと、ラノベや漫画が対象であることが多いですが、本作の場合は美少女フィギュア作り。
原作の小説を書く→キャラクターをイラストにする→フィギュアの原型を作る→フィギュアに彩色する。
という美少女フィギュアが完成するまでの一連の工程を主人公とヒロインズで分担しているのが特徴。
ラブコメ面は今のところ進展なし。明確にフラグが立っているヒロインは一人いるようですが…
主人公は自身を「エロス大魔神」と名乗り、周囲を遠ざけるようにふるまう高校生の少年。
中学生の時は美少女フィギュア作りの達人だったが、苦い経験から今は制作をやっていない。
真面目で謙虚な性格で他人のために自分を犠牲にできる優しさの持ち主だが、自罰的なところがある。
うどん(特に讃岐うどん)が好物。歴史が得意で、日本史は学年一位の成績。
ヒロインは距離感バグり系委員長、ギャルな幼馴染、のんびり屋な同級生。
一番のお気に入りは主人公にことあるごとにフィギュアを作らせようとしてくる同級生、セレーネ椎竹。
ギリシャ人の父と日本人の母を持つハーフで、あまり整えられていないセミロングの髪に、緑色の瞳。
欧州風の彫りの深い顔立ちの中に、丸みを帯びた大和撫子さが混在しているEカップ美少女。
主人公と同じ美術部員。天才的な色彩のセンスを持っており「色神」を自称している。
マイペースな性格ののんびり屋さんで、マウントを取りたがる残念娘。
入学直後に孤立を試みた主人公に唯一友好を求めた人間で、彼のことを「弟者(おとじゃ)」と呼ぶ。
現時点(一巻)においての評価はC。
フィギュアという珍しい題材が目を惹く作品。とはいえ、興味のない読者でも十分楽しめるかと。
創作を通して、主人公やヒロインが自分の抱えている問題を解決していく、という流れになっているので
題材が突飛なだけで、ストーリーラインは青春物語の色が濃いですしね。タイトル回収も見事ですし。
キャラに関しては、エロス大魔神を自称している主人公が主要キャラの中では一番まともという不思議。
メインヒロインの月子を筆頭に、ヒロインズの癖が強すぎるだけとも言えますが。
というか「私の子供を作ってよ」のインパクトがデカすぎである。エロい意味での発言ではないのですけども。
本筋は委員長からの依頼を経て、自分が大好きで夢中になれることを取り戻した主人公ですが、さて。