ドラゴンギャルのネイリスト   折口良乃(ダッシュエックス文庫)



ドラゴンギャルとモデラー男子のネイリスト青春ラブコメストーリー。
モンスター娘ガチ勢である作者さんの新作ということで、ヒロインはやっぱりモンスター娘(厳密には亜人)。
物語が始まる切欠であるところの「爪が硬すぎてネイルができない」が、メインヒロインの五島サヨリが
ドラゴンの血を引く亜人、すなわち人外ヒロインだからこその悩みになっているのが掴みとして面白い。
当然のことながら、ネイルを施す手段も普通の人間相手とは全然違ったものになっていますし
その試行錯誤の様子はネイル自体に興味はなくとも、どこかワクワクしながら読み進めることができます。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公はプラモデル制作が得意な高校生の少年。
ある日クラスメイトの五島サヨリに屋上へ呼び出され、何故かネイリストとして頼られることに。
会話や注目を集めることが苦手。要するに人付き合いが苦手な典型的な陰キャ。
押しに弱いが真面目な性格で、頭の中にしかないイメージを現実のものとして作り出すのが好き。
一人で何かを黙々と作るタイプの人間で、作ったものが誰かに評価された時が一番嬉しい。
趣味・特技はプラモデルの制作。その腕前は雑誌に載るレベル。

ヒロインはドラゴンギャル。サブに四本腕ギャル。
一番のお気に入りはドラゴンの血を引く亜人ギャルなクラスメイト、五島サヨリ。
染めた金髪の間から伸びている湾曲した金色の角に、大きく長い尻尾。
そして目元と手に僅かに残っている鱗が特徴の巨乳美少女。亜人向けのファッション誌でモデルをしている。
誰に対しても人当たりが良く、明るく、いつも笑顔で、常に友達に囲まれていて、何に対してもポジティブで
好奇心旺盛。それでいて他人の好きなものを絶対に否定しないという典型的な好かれる陽キャ。

現時点(一巻)においての評価はC。
亜人が普通に存在する世界観というファンタジー要素が目を惹くゆえにスルーしてしまいそうになりますが
この作品って分類としてはクリエイターものなんですよね。主人公はかなり職人気質ですし。
とはいえ、彼はそれなりに知名度があるとはいえ、プロではないですし、所詮はただの学生。
あくまで主軸となるのはモノづくりに対する「好き」への熱量なわけで。だからこそ読後感は爽やかなのですが。
メインヒロインであるサヨリの有する陽の可愛らしさも申し分なく、青春ラブコメとしても良い感じかと。
本筋は本格的にネイリストとしての道を歩むことになった主人公ですが、さて。