万年を生きる平和主義ヴァンパイア、いつの間にか世界最強に
                                                葉月双(ダッシュエックス文庫)



平和主義ヴァンパイアの勘違い系最強ファンタジーストーリー。
大枠としては勘違いもの。自分が最強という自覚のない主人公が無双して周囲を驚かせまくる話ですね。
この手の話は主人公が「自分は弱い」と勘違いしている理由に無理矢理感があることが多いですが
本作の場合は二千年ほど領地に引きこもっていた(あと、昔は本当に弱かった)わけですから
自覚のなさは仕方ないと納得できるかと。必要性のなさゆえに外の情報の更新も皆無だったわけですし。
まあ、表舞台に立ってからも自分の強さを正確に認識しないお約束展開は他と同じですが…
ラブコメ面は三人の美少女に結婚を願われている主人公。同族のエレノアは嫁確定のようですが、さて。

主人公はいつの間にか魔王軍四天王最強の座についていた最古のヴァンパイア。
自身では長生きだけが取り柄であり、平均よりちょっと弱いという認識だが、ヴァンパイアは生きた時間に
比例して強くなる種族であるため、一万年分の蓄積もあって実際は最強クラスの実力者。
黒髪ロングに金色の瞳、見た目の年齢は二十歳前後と特筆すべきものはないが、顔立ちが邪悪。
小心者かつ面倒なことが嫌いな性格で、自分より弱い(と思っている)相手には強いタイプ。
契約によって人間の村を守護し続けてきたこともあり、人間に敵対心はない。というか仲が良い。
長年生きていた間に趣味だったことから、料理、鍛冶、裁縫、絵画などが得意。
好みのタイプは大人というか、出るところが出ている女性。

ヒロインはぼくっ子魔王、傲慢ポンコツな吸血姫、マイペースな勇者。
一番のお気に入りは主人公を招聘した誰もが恐れる魔界の支配者にして現魔王、ロザンナ。
暗い紫色のロングヘアの、外見年齢だと十五歳くらいに見える胸は小さ目なゴスロリ美少女。
二百年前、殺されそうになっていたところを主人公に助けられたことがあり、それ以来彼を慕っている。
常に陰鬱と憂鬱の詰め合わせみたいな雰囲気を纏っており、性格も怖い。
主人公の前では可愛い子ぶりっ子しているが、公的な場では魔王らしく威厳があり、畏怖されている。

現時点(一巻)においての評価はC。
自覚なき最強っぷりに加えて、伝説級のアイテムの数々の所持、物語開始時点で現勇者&現魔王と
知り合っているどころか、結婚を望まれるレベルで慕われていたりと、主人公の全方位無敵っぷりが愉快。
他のヴァンパイアが滅んでいく中、引きこもっているだけでここまでになるとかある意味凄すぎである。
むしろ何故滅びてしまったのだろうか、主人公以外のヴァンパイアは……好戦的すぎたとか?
本筋は昔世界を滅ぼしかけたドラゴンが復活し、戦いを仕掛けてくるも勝利し、日常へと戻った主人公。
しかしのほほんとしているのは彼だけで、世界の情勢は混乱しまくっている模様。