ぼくの壊れた正義はループする異世界で愛と罪を天秤にかける
                                                横塚司(ダッシュエックス文庫)



オークに蹂躙された学園で生と死を繰り返すサバイバルファンタジーストーリー。
大枠としては学園の建物や敷地ごと巻き込まれてしまうタイプの異世界転移ものですね。
状況把握や話し合いすらする暇もなく、転移直後にモンスターの襲撃が発生するというハードモードスタート。
一応ファンタジーもののお約束であるレベルアップによるステータス強化やスキルを得る展開はありますが
最初の一歩がかなり困難であるため、序盤から主人公周囲を含めて悲惨な展開が起きまくります。
そもそも主人公の力からして、死に戻りというチートではあるけど悲惨な経験積み前提のものですし…
ラブコメ面は主人公が義姉の春名第一主義であるため、彼女以外の女性はノーチャンス?

主人公は義姉である春名を溺愛する危険人物な私立北山学園高等部一年生の少年。
突如発生した異世界転移に巻き込まれ、自身が死ぬ度に同じ時間に戻る異能を利用して足掻くことに。
春名を守ることが生きる理由であり、そのためであれば違法行為も辞さない。
その想いの強さゆえか、こと彼女に関することとなると、こうと信じたことと現実が乖離することがよくある。
姉と付き合う人間は選別するべきだ、と考えるタイプのシスコン弟。
春名が笑っていればそれで幸せ。それが他人からどう見えるかなど関係がない。
考えることそのものが好きで、問題に対して頭を捻り、解答を導き出すという好意そのものが快楽。
特技は工作。その腕前はスタンガンや釘打ち機を違法改造できるほど。

ヒロインはダダ甘な義姉。サブに気さくな級友。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
死に戻りという、経験と知識を蓄えることしかできない異能で足掻き続ける主人公の奮闘が光る作品。
能力の都合上、発動=己の死なわけですから、毎度死の苦痛と後悔、恐怖を味わうわけですからね…
それを乗り越えて、最愛の女性を守るために前に進む執念はお見事の一言。
まあ、平和で平穏な元の世界であれば危険人物以外の何者でもなかったんですけどね、彼。
そんな義弟を平然と受け入れている義姉なメインヒロインの春名も大概な大物ではあるのですが。
本筋は死に戻りを駆使してなんとか異世界生活の初日を乗り越えた主人公一行。
しかしループポントが更新されてしまったことで、親友を永久に失うことになってしまい…?