ビリオネア・プログラム 黒鍵繭(MF文庫J)
資本によって支配された学園を舞台にした、マネーバトルストーリー。
大枠としては「金」をテーマにした頭脳バトルものですね。舞台となる高校は全てに金が介在する上
在学中に積み上げた資産は卒業時にほぼ自分のものになるというトンデモ環境になっているわけですが
そりゃこんな金こそ全てな学校の生徒なら手段こそ異なれど、皆金稼ぎに精を出しますわな。
かかっているものがものだけに、騙して奪ってな生臭い人の醜さが前面に出ている感も強いですが。
とはいえ、こういう極端な学校であっても人材を育成しないと経済の未来が…という理屈もわかるという悲しさ。
それはそれとして、こんな学校を卒業した人間とは絶対交友を持ちたくはないですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公は良くも悪くもヒロイン二人に執着されたようですが…
主人公は全てに「金」が介在する高校・長者原学園の入学セレクションを受けにアメリカからやってきた少年。
暗色のところどころにブロンドが混ざっているストレートに伸びた髪、長身のミックスルーツなイケメン。
軽薄で軟派な性格。自分自身のスマートさを重視しているナルシストで、女性とコミュニケーションを
とるのが好きだが、お金を稼いだりそのために努力をしようとすることが嫌い。
将来的にはパートナーに養われることを目論んでいる。
……というのはすべて擬態した姿であり、その正体は義務と忠誠だけで稼働する紛い物。
ヒロインは生真面目な同級生、高慢な令嬢。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
お金というわかりやすい物差しを用いているからこそ、優勝劣敗が残酷なまでに明確になっている作品。
だからこそ、どん底からの逆転劇というカタルシスが映えまくっているともいえるのですが。
キャラに関しては、軟派で飄々としながらも底を見せない主人公と、この手の騙しあい系の環境には向かない
しかしだからこそ必要な存在ともいえる、正道こそを良しとするメインヒロイン・在歌のコンビが良き。
正反対の二人がお互いの持ち味を生かして勝利を掴み取っていく様は王道の爽快感があります。
まあ、一巻ラストで判明した真実で色々ひっくり返されたりもするのですが。
本筋は長者原学園の入学セレクションを無事に突破した主人公ですが、彼には裏の思惑があるようで…?