詠う少女の創楽譜   雨野智晴(MF文庫J)



歌を詠唱代わりにする魔法のある世界でのバトル&ラブコメ。シリアス分も結構強め。
女性優位の特殊な力が世界を動かしている、ということでISを想起させる設定ですね。こっちは魔法ですが。
まあ、サポート役として男も活躍できるので、女尊男卑とまではいかない模様。
作者さんと絵師さんが共にエロゲスタッフなので、全体的にはまんまエロゲがラノベになったような印象。
主人公兄妹を筆頭に、主要登場人物たちが変態ばかりでしたしw
ラストは最終決戦に勝利し、新しい未来へ兄妹仲良く歩んでいこうエンド。
ラブコメ的には決着つかずのままでしたが、まあ実質的に実妹である明日香の一人勝ちっぽい感じですね。

主人公は落ち零れに属する奏士(この物語の魔法使い、通称『歌姫』のパートナーのこと)
容姿その他の能力共に平凡だったが、三巻以降は世界初の技術を身につけたことにより、周囲の注目の的に。
性格的には、周囲からの重圧にも負けない前向きさこそあるものの、万事に対してヘタレ気味。
が、差別意識を持たず、己の価値観に正直で、それを表に出すことをためらわない性根の持ち主でもある。
なお、妹の匂いが移った布団に身を包んで腰を動かすいやらしい何か(笑)をしていた過去がある程度の変態。
良いところがないわけではないが、なんでコイツがモテているのかは疑問、といいたくなるタイプの主人公。

ヒロインはブラコン妹、ボケボケ清純派(笑)パートナー、セクハラ学院長、ぺったん先輩、天然クールな歌姫。
最終巻にて、高飛車歌姫と堅物歌姫が参入。しかしヒロインとしては結局昇格しきれずといったところ。
一番のお気に入りはぺったん可愛い先輩、シルヴィ・マルソー。
主人公同様、身内が有名人であるため、才能を開花させるまで周囲からのプレッシャーに晒されており
また、社交性に乏しく、コミュ能力に欠け、しかも意地っ張りなため、主人公と出会うまではぼっちだった。
しかしその実態は、自分を認めてくれる人を求めているだけの寂しがり屋な少女。
アニメオタクで漫画オタク。あと、一人でできるタイプのゲームを好んだりと何気にサブカルチャー好き。
自信の貧相な体型を気にしており、日夜効果の上がらない豊胸運動に励んでいる。

評価はC。
最終巻が巻き展開すぎる(打ち切り?)とか、後半登場のキャラ立て&絡みが不十分すぎるとか
戦闘描写が最後までわかりにくかったとか、黒幕登場唐突すぎ、しかもラストバトルカットとかないわーとか。
結局なんで主人公は世界で唯一の演奏ができたのかとか、最後主人公全然目立ってないとか。
色々不満やツッコミどころも多いですが、ラブコメパートは文句なく面白かったです。
反面、シリアスパートとのバランスが微妙だったところもあり、全体的にはキャラの魅力頼りな感がありましたが。
とはいえ、メインヒロインの明日香をはじめとしたヒロイン達のこれでもか! といった自己主張による
華やかさや可愛らしさには全編に渡って楽しませてもらいましたし、キャラ萌えという点では文句なし。
設定や展開も粗こそ多かったものの、その魅せ方は流石の一言でしたしね。