極めし剣は魔術を斬り裂く 文月紲(富士見ファンタジア文庫)
世界の常識ごと斬り裂き天才令嬢の心まで揺さぶる剣豪無双ファンタジーストーリー。
大枠としては転生ものですね。転生先は異世界ではなく同世界、勿論主人公は元現代日本人ではなく現地人。
魔術至上主義、剣は過去の遺物、剣士は魔術師には勝てないという考え方が常識の世界。
そんな世界に魔術の素養がないという、客観的には不幸極まりない身で生まれてしまったにも関わらず
そんなこと知るかとばかりに剣に生き、剣に死のうとする、正に剣鬼な主人公の活躍が実に痛快。
ラブコメ面はメインヒロインのアルセリアに執着されてしまった主人公ですが、彼女の感情やいかに。
主人公は前世は剣の道半ばで倒れたが、剣才に恵まれた体に転生したレイノスティア侯爵家次男の少年。
普段は冷静で思慮深いが、戦いとなると人が変わってしまう戦闘狂気質。
また、社会的な常識は身についているが、剣が拘わると色々とタガが外れてしまう。
最優先事項は剣を極めて強い奴と殺しあうことであり、功績や名誉、金銭にはまるで興味がない。
現世では欲望に忠実に生きると決めているがゆえに、言い訳したり逃げたりする奴が嫌い。
ヒロインは傲慢な天才令嬢、ゆるふわな侍女。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
剣一本で魔法至上主義の世界を駆け抜けていくという浪漫全開な作風が素敵の一言。
周囲の目や声をまるで気にせず、ただただ剣の道を突き進み、その狂気ともいえる生き様で他者を魅了する。
そんな突き抜けた剣鬼っぷりを見せてくれる主人公には問答無用の格好良さがあります。
まあ、五歳で野盗や魔物を殺しまくる(しかも笑いながら)のは普通にヤバい奴ではあるのですがw
世界観ゆえに蔑まれることもありますが、上記の通り彼自身は誹謗中傷を歯牙にもかけていませんし
幸いなことに家族は皆味方サイドなので不快感を覚えることはほぼないかと。
しかし類は友を呼ぶというか、主人公の次にヤベーのがメインヒロインのアルセリアという…
本筋は魔術大会にて優勝し、自由を勝ち取った主人公。十四歳となる次巻からは学園編の模様。