ありあまる魔力で異世界最強   十利ハレ(オーバーラップ文庫)



濃厚なキスと美少女たちの願いを糧に英雄への道を歩きだす少年の異世界ハーレムストーリー。
大枠としては異世界召喚ものですね。表紙やタイトルの雰囲気からして軽いノリの話なのかなと思いきや
希少種への迫害がガチで酷かったりと、舞台となる異世界における大多数側の価値観は相当に非道。
作中ではエロイベントやコミカルな掛け合いなどが多いですが、正直中和しきれていない印象があります。
虐げられているからこそ、保身に長けているはずの主人公サイドのヒロインが自らピンチに
突っ込むような頭の悪い行動をとってばかりなのも逆ご都合主義過ぎますし…
ラブコメ面はヒロインたちに色々な意味でモテモテとなった主人公ですが、さて。

主人公は「エサ」として異世界に召喚された高校生の少年。
実は無限の魔力を持ち、相手の強い想いを固有魔法に昇華する伝説の存在「無休の箱(エリシオン)」。
元の世界では自分の人生には何もないことがコンプレックスで、自分が特別だと思える何かが欲しかった。
切り替えが早い性格で、召喚された異世界では「しんどい時こそ前向きに!」をモットーとしている。
特別得意というわけではないが、高校生男子の枠組みの中では料理はできるほう。

ヒロインは欲求不満な吸血鬼、無表情妖狐、お姉ちゃんエルフ、ドMなレイス。
一番のお気に入りは死霊種(レイス)の魔道士、シスカ・ノンノーシス。
幽霊のような青白い肌、勝ち気そうな瞳、白と黒のツートンカラーツインテールの巨乳美少女。
勝ち気で自信家、自分に正直、前向きで誠実な性格をしており、ストイックだが性癖がドM。
自分よりも上だと認めた相手である主人公のことを「飼い主さん」と呼ぶ。

現時点(二巻)においての評価はC。
希少種への偏見が割と真面目に不快になるレベルなので、そこが読んでいてキツいかもしれません。
まあ、だからこそそんな世界に叛逆の旗を掲げる主人公たちの活躍にカタルシスがあるのでしょうし
召喚された人間であるがゆえに偏見のない主人公にヒロインたちが懐き、甘える姿にニヤニヤできるのですが。
キャラに関しては、異世界に召喚されるも勇者召喚ではないと知って落ち込み、しかしすぐに気持ちを切り替えて
異世界を満喫しようとしたり、ピンチの中でも前向きに進もうとする主人公が見ていて気持ちよい。
ヒロインたちは少々チョロすぎる感があるものの、世界観的には仕方ない部分が大きいので問題なし。
本筋は悪の研究者と遺骸を操られた竜を退け、死霊種を味方にすることに成功。