無能と蔑まれた貴族の九男は最強へ至るも、その自覚がないまま無双する
メグリくくる(オーバーラップ文庫)
邪神に殺され続けた果てに、ハズレスキルが覚醒した少年の無双ファンタジーストーリー。
封印されている間に数百年が経過していた、という設定なので大枠としてはタイムリープものになるのでしょうか。
本編において主人公は最強クラスの実力者ですが、当人に自覚はないため、勘違いものの要素もあります。
なお、過去に主人公は無能として蔑まれていたという設定になっていますが、ざまぁというか見返し展開はなし。
そもそも、数百年後からのスタートなので、見返すべき人間は全員死去していますからね。
まあ、本編時間軸のほうにも過去とは別の意味でのクソ存在が多いので無双の爽快感はあるのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロイン側は主人公の子供を産む気満々ですが…
主人公は眼が良くなるだけのハズレスキル「鷹鵜眼(ヨクミエルヒトミ)」を持つ貴族の九男。
ひょんなことから仲良くなった猫を助けるためダンジョンに潜った結果、ボスの邪神とともに封印されてしまい
その後、邪神に殺され続けた結果、無能扱いされていたハズレスキルが覚醒し、邪神の力を手に入れ
封印を破ることに成功するも、帰還した世界は数百年が経過してしまっていた。
動じない性格をしているが、かつての自分を彷彿とさせる出来事と対面すると気が高ぶりがち。
また、理知的で思慮深くはあるものの、ハズレスキルの無能であったがゆえに貴族らしい自尊心が欠片もなく
それどころか自己評価が低いところがあり、そのせいで自分が強いとは考えない。
色恋に関しては情緒が発達していないのか、女神の裸を見ても無反応だったりする。
ヒロインは相棒な女神、ボクっ娘化け猫、ポンコツなシングルマザー。
一番のお気に入りは主人公によって呪いを解かれ、共に旅をすることになった女神、アエリア。
一房金色になっている青い長髪に藍色の瞳の、人間離れした美貌を持つ美人。
女神らしく心優しくお淑やかな性格だが、子供っぽい一面も。
現時点(二巻)においての評価はC。
本編時間軸はファンタジー世界を舞台にしたタイムリープものにおいて主人公を活躍させるためのギミックとして
便利かつお約束の「過去に比べて魔法やスキルが弱体化している」という設定が存在しているわけですが
当作品の主人公の場合、過去の時点では本当に無能だったため、この設定がイマイチ活かされていない気が…
まあ、過去のままだと主人公がすぐに自分の強さを自覚してしまうため、タイトル詐欺になるから仕方ない?
キャラに関しては、報われない人生を歩み続け、果てには一億回も殺され続けるという悲惨な目にあいながらも
最強であるという自覚がないにも関わらず、目の前の不幸を、不条理を許せずに立ち向かう主人公が素敵。
メインヒロインにして相棒ポジションの女神アエリアとの掛け合いもほのぼのしていて良き。
本筋は世界を歪めた大賢者の部下にして主人公たちを狙う魔神十二将の一人を撃破。
しかしそれによって魔神十二将のうち二人が同時に襲ってくることになってしまい…?