異世界除霊師 及川シノン(ダッシュエックス文庫)
幽霊を否定する異世界を勇者と「除霊」スキルで駆け巡る、新感覚の除霊冒険譚。
大枠としてはファンタジー世界を舞台にした冒険者ものですね。特徴は幽霊が存在しないと言われていること。
ファンタジー世界というと、ゴーストやリッチ、ゾンビといったアンデッド系のモンスターはお約束。
この作品においてもゾンビは存在が周知されているのですが、それでも幽霊は否定されているわけで…
まあ、だからこそ除霊スキルを持つ主人公が対面することになる心霊現象のあれこれが楽しいのですが。
ちなみに、主人公は役立たず認識のスキル持ちゆえに物語序盤で追放されますが、ざまぁ展開は薄め。
ラブコメ面は今のところ進展なし。主人公が色より冒険ってキャラですしね。
主人公は神官なのに回復魔法が使えない、教会お墨付きのFランク(使えない)スキル「除霊」持ちの冒険者。
転生者であり、前世では日本の若者だった。死因は事故死で、その後四十九日間幽霊として過ごしている。
理屈っぽく頑固な性格で、他者からどう言われようとも自分の信念を曲げる気は微塵もない。
また、理不尽が嫌いであり、人間も幽霊も区別しないし、男女も平等に扱うタイプでもある。
回復魔法はおろか、魔力すら皆無、剣も槍も弓の才能もない、と冒険者としての適性はゼロに等しく
人助けにも大して興味を持っていないが、心躍る大冒険に憧れているがゆえに冒険者であり続けている。
色恋に気がひかれないわけではないが、冒険者としての自由気ままな生活のほうが優先。
ヒロインは怖がりな勇者、お金好きな猫亜人、エキセントリックな令嬢。サブにツンデレ幼馴染。
一番のお気に入りは辺境貴族エドマンズ伯爵の一人娘、フランソワ・エドマンズ。
亜麻色の長い髪の毛を巻いた、美しさと魅惑のプロポーションを持つ美少女。
裕福な家庭で何不自由なく育つが、悪魔に憑りつかれてしまい、主人公がそれを解決することに。
活発でお転婆、それどころかエキセントリックとすら呼べるくらいの明るい性格をしており
貴族でありながら心が広いが、同時に貴族らしく打算で動くこともできる。
現時点(一巻)においての評価はC。
希少な特殊能力持ちの主人公がその力を活かして活躍する、という展開はよく見かけますが
その内容が心霊現象の解決、しかもファンタジー世界でそれを、というのは珍しくて興味深いですね。
除霊といっても退治目的のバトル一辺倒ではなく、相手によっては対話をし、死者の望みを叶えるという形で
事態の収束を計ったりと、幽霊であってもきちんと対象への尊重があるので読後感もよいですしね。
また、理屈屋かつ強メンタルでもある主人公のキャラも作風にマッチしていてグッド。
本筋は勇者の仲間「除霊師の神官」として主人公は新たな冒険の旅へ。